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「日本一になれる」慶応高校を甲子園優勝に導いた“学生コーチの構想力”「打たないことには勝ち抜けません」「フランクに話せる人間関係は重要ですね」
posted2024/04/02 17:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Yuki Suenaga
慶応の強さは学生コーチが支えていたのか……。
それを実感したのは、Number 1092号「慶応義塾高校『学生コーチの対話力』」の取材で、松浦廉(商3)、片山朝陽(経3)、松平康稔(法3)の3人のコーチに話を聞いたからである。
Number誌の取材では選手と学生コーチの「目標設定」「対話」に焦点を当てたが、実はもう一本、書ける題材が取材で浮かび上がってきた。
大学生による優勝のための構想力。
これが実に興味深かった。
外野担当の松浦コーチは、こう言った。
「チーム能力の最大化を図る。これが10人以上いる学生コーチの役割かと思います。それぞれが『こんなチームを作りたい』というイメージを持っています。それをコーチ・ミーティングですり合わせていき、森林(貴彦)さんに提案していきます」
監督のことを「森林さん」と呼ぶあたり、いかにも慶応らしい。
さて、優勝への準備はどのようになされたのか。
内野守備を担当した片山コーチは、2022年の秋季関東大会が終わった時点で、こう確信したという。
「甲子園は間違いなく出場できる。センバツはほぼ確定でしたが、夏も神奈川を勝ち抜けられるし、それどころか『日本一になれる』とまで思いました」
センバツの選考がかかる2022年秋の慶応の戦いぶりはこのようなものだった。
秋季神奈川県大会
準々決勝 〇東海大相模 7―4
準決勝 〇日大藤沢 7―6
決勝 ●横浜 3―6
秋季関東大会
1回戦 〇常磐大高(茨城2位) 5―3
準々決勝 〇昌平(埼玉1位) 7―3
準決勝 ●専大松戸(千葉1位) 3―5(延長10回)
慶応の強みとは…
強豪校との対戦を通して、慶応の強みが見えてきた。