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「負けたら引退します」朝倉未来vs平本蓮“驚きのビッグマッチ”はいかに発表されたか?「格やレベルよりも物語」というRIZINの戦略性

posted2024/03/23 17:00

 
「負けたら引退します」朝倉未来vs平本蓮“驚きのビッグマッチ”はいかに発表されたか?「格やレベルよりも物語」というRIZINの戦略性<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

六本木ヒルズアリーナで行われた「超緊急会見」にて、対戦が決まった朝倉未来と平本蓮(中央にはRIZINの榊原信行CEO)

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 掛け値なしのビッグマッチだ。主催者が狙うのは“記録更新”である。

 3月16日、RIZINがファン公開の記者会見を開催した。「超緊急記者会見」と題され、会場は六本木ヒルズアリーナ。かつて、RIZINの前身と言えるPRIDEのUFCによる買収が発表された会場でもある。

 そんな“歴史”を感じさせる場所で発表されたのは、朝倉未来vs.平本蓮のフェザー級マッチ。舞台は7月28日の『超RIZIN.3』、さいたまスーパーアリーナ・スタジアムバージョンでの開催だ。

 客席が可動するさいたまスーパーアリーナの最大版であるスタジアムバージョン。RIZINでは初使用、格闘技界としては2009年大晦日の魔裟斗引退興行以来となる。PRIDEでは同会場の動員記録を作った。

 RIZINの榊原信行CEOは『超RIZIN.3』でさいたまスーパーアリーナの観客数、加えてPPV購入件数などの記録を更新したいと意気込む。那須川天心vs.武尊の『THE MATCH 2022』(東京ドーム)のPPVを超えるだろうと榊原。

 それだけの注目度、話題性が朝倉未来vs.平本蓮にはあるというわけだ。ただ、それすらもRIZINにとっては大きな流れの一部、過程になる。

“未来vs平本”ビッグマッチはなぜ大晦日ではない?

 RIZINが年間の“シーズンピーク”としているのは大晦日だ。だが運営側は未来vs.平本を大晦日まで“ためる”ことはなかった。榊原は言う。

「実力や戦績、直近で誰に勝ってるのかを紐解いていくと“どうなの?”となってしまう部分もあるので」

 この言葉の意味を、簡単に説明したい。

 朝倉未来は日本格闘技界における最大の成功者。“不良格闘技”THE OUTSIDERで名を上げ、RIZINでも活躍するとYouTuberとしてもトップクラスに。プロデュースする“1分間格闘技”BreakingDownも大人気となった。

 ただ現在は2連敗中。ヴガール・ケラモフとのRIZINフェザー級王座決定戦で一本負けを喫し、YA-MANにはオープンフィンガーグローブ着用のキックボクシングマッチでKOされた。この連敗で、一時は引退を示唆していた未来。今回はキャリアの中でも大事な再起戦となる。

 一方、平本は昨年大晦日、YA-MANにMMAで判定勝利を収めている。K-1のトップファイターからMMAに転向、会見でもSNSでも対戦相手を罵倒、嘲笑して話題をさらってきた。

 未来が連敗、平本がYA-MANに勝ったというタイミングだからこそ、2人のキャリアが交わる時が来た。その意味で、今回のマッチメイクは「タフネゴシエーションではなかった」と榊原はコメントしている。

【次ページ】 この試合は頂点を決める闘いではない

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