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「負けたら引退します」朝倉未来vs平本蓮“驚きのビッグマッチ”はいかに発表されたか?「格やレベルよりも物語」というRIZINの戦略性
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2024/03/23 17:00
六本木ヒルズアリーナで行われた「超緊急会見」にて、対戦が決まった朝倉未来と平本蓮(中央にはRIZINの榊原信行CEO)
この試合は頂点を決める闘いではない
平本のMMA戦績は3勝3敗。ポテンシャルの高さや競技に対する真剣さは疑いようがないものの、まだ“勝ったり負けたり”の選手ではある。タイトルもかかっておらず、つまりこの試合は頂点を決める闘いではない。RIZINフェザー級戦線という枠で見れば、勝ったほうが大晦日に向けてステップアップするという意味合いになる。あくまでベルトに向けての“途中経過”だ。
しかしそういうマッチメイクが、さいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンで行われるのだ。観客は何を求めてチケット(PPV)を買うのか。“格”や“レベル”ではなく“物語”だろう。
平本はRIZIN参戦以来、常に未来をターゲットにしてきた。未来が頭部のダメージで休養期間を取った時には舌鋒がさらに鋭くなったのだから、はっきり言えばタチが悪い。一線を踏み越える悪童ぶりと競技に対する真面目さ、真摯さの二面性でファンから支持されてきたのだ。
未来はそんな平本のポテンシャルを認めつつ、あくまで格下としてあしらってきた。何を言われても気にならない、ファンの目のない場所で直接言ってくる勇気は平本にはないのだと。
両者「負けたら引退します」会見でのトラッシュトーク
逆に言えば、ファンの目のあるところでは容赦なし。不倶戴天の敵同士の対戦が決まると、両者は会見の席上でトラッシュトークをこれでもかと展開した。
平本「僕もずっと望んでいた、目標にしてきた試合。朝倉未来という存在が刺激を与えてくれて。カリスマというか唯一無二の存在で、自分の中に尊敬とか憧れとか……あるわけねえだろバカ! ケラモフに負けてYA-MANに負けていじけてるので、僕がトドメを刺そうと思います」
未来「俺がRIZINのフェザー級を盛り上げてきた自負がある。年末にトップ戦線に食い込みたい中で、復帰戦に楽な相手を用意してもらったのでボコボコにします。万が一、平本に負けたら引退します」
平本「俺も負けたら引退します。絶対負けるわけないので。朝倉未来なんかに負けたら引退します」
未来「平本の引退試合を見に来てください」
平本「いやいや、朝倉未来の引退試合をお楽しみに」
お互い一歩も引かないし、まったくもって口が減らない。あの手この手で相手を否定するのだが、それだけお互いのことをよく知ってもいる。
平本「最近、アイドルのプロデュースとかよく分からないことをやってるみたいなので。秋元康みたいになってなければいいですけど」
未来「俺が狙ってるのは年末にトップ選手と対戦して復活すること。今回は準備運動です。(平本は)MMAの選手としてはまだまだ。打撃は巧いけどKO勝ちはない。3勝3敗の坊やを痛めつけます」