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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
“年俸16億円”がドーピング疑惑で“月給32万円”…「ヤンチャな金髪サッカー小僧」から怪物になったMFポグバ31歳が味わう因果な現実
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byQian Jun/MB Media/Getty Images
posted2024/03/17 11:01
2023年11月、アブダビでのF1グランプリに姿を現したポール・ポグバ。彼のトップフォームはもう目にすることができないのか
「陽性反応が出たこと自体は事実なのだから言わせてもらうが、ポグバという男はちと考えが足りないというか、思慮に欠ける男だな。自分の言動がクラブにどれだけ影響を与えるか考えもしないという点で、やつにはユベントスへの忠誠心が感じられん。もし私がまだフロントにいたら、そもそも出戻りを許さなかった。仮に復帰させたとしても、絶対にドーピング違反など起こさせんよ」
ドーピング違反による出場停止は“報酬の対価として選手側から提供されるべきパフォーマンスを行使できない契約不履行状態”とみなされ、約16億円相当の年俸支払いはストップした。
現在、ポグバが月々に受け取る額は、選手協会とセリエAリーグ機構によって取り決められた最低給の約2000ユーロ(約32万円)のみだ。
ロシアからオファーというニュースもあったが…
今回のドーピング疑惑に関して、ユベントス・フットボール・クラブ株式会社は“ポグバ個人に関する事件であり、チームやクラブ組織としてのユベントスは無関係”という立場を崩していない。
スポーツ調停裁判所への上訴次第だが、今夏には契約解除や放出も現実味を帯びてくるだろう。
22年夏から2年近く、セリエAの公式記録にはユベントスMFポグバが合計213分間プレーしたと記されている。だが、ユベンティーノが思い出の中に知るポグバは、ただの一度もいなかったのではないか。
反ドーピング機構の処分発表から10日ほど過ぎた3月初め、「ロシアからポグバにオファー」というニュースが控えめに伝えられた。
6年前、キリアン・エムバペ、アントワーヌ・グリーズマン、エンゴロ・カンテらとともにワールドカップを掲げた地がロシアだったが――送り主は俳優やインフルエンサーといったセレブが集まる半分趣味のクラブで「ともに歴史を作ろう!」と代表の一人が電話で説得したらしい。ポグバは申し出を丁重に断ったという。
来年の今頃、彼がどこで何をしているのか、まだ誰も知らない。
<第1回からつづく>