「私自身はAIをそこまで信用していないんですけど（笑）。ただ、最先端にいる太さんがAIのいいところをうまく吸収して自分なりに消化すれば、AIと一緒に伸びていく可能性は高いと思います。現在というよりも、10年後の太さんがどんな麻雀を打っているのか……。個人的にとても興味があります」

　では、現時点で「麻雀界の羽生善治」と呼べるような打ち手はいるのだろうか。鈴木は迷いなく、所属団体の最高峰タイトル・鳳凰位を保持する佐々木寿人（KONAMI麻雀格闘倶楽部／日本プロ麻雀連盟）の名前をあげた。

「やっぱり寿人さんですね。寿人さんは麻雀以外でも、たとえば将棋をやっていてもプロになれた人だと思います。これは本当のプロフェッショナルに共通する強みだと思いますが、とにかくシンプルなんですよ。シンプルに麻雀と向き合って、シンプルに勝利を追求する。そして他のことにはあまり興味を示さない。それこそ、麻雀が服を着て歩いているような（笑）」

持ち前の剛腕で“二刀流プロの矜持”を示す

　Mリーグ参入1年目のBEAST Japanextは、レギュラーシーズン最終盤にきて鈴木と猿川真寿のWエースが奮闘。96試合中86試合を消化した3月8日時点で9チーム中6位と、セミファイナル進出のボーダーラインまで浮上した。だが、下位3チームとのポイント差はわずかで、対局のたびにめまぐるしく順位が入れ替わる状況が続いている。

©Hideki Sugiyama

　短期決戦で無類の強さを誇る“二刀流の猛獣”の目下のミッションは、持ち前の剛腕でチームをセミファイナルに導くことだ。「プロである以上、『ツキがなかったから負けました』ではいけない」という言葉は、決して軽い覚悟で口にしたわけではない。

＜第1回、第2回からつづく＞