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大谷翔平が6年間で急上昇「メジャー打球速度ランキング」ライバルはジャッジ、鈴木誠也も適応…「WBC最速185km」村上宗隆の課題は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byCTK Photo/AFLO
posted2024/01/24 11:04
WBCイタリア戦での大谷翔平と村上宗隆。メジャー最強クラスの大谷に、日本人スラッガーはどれだけ近づけるか
2018年 183.3km/h=52位/390、平均149.5km/h=13位/390
2019年 185.2km/h=26位/406、平均149.3km/h=10位/406
2020年 180.1km/h=49位/194、平均143.4km/h=83位/194
2021年 191.5km/h=3位/404、平均150.6km/h=8位/404
2022年 191.7km/h=3位/411、平均149.5km/h=7位/411
2023年 190.9km/h=4位/403、平均151.9km/h=3位/403
2018年、エンゼルスに移籍した頃の大谷のMaxの打球速度は52位。それでもリーグ上位ではあったが、トップクラスではなかった。しかし平均は13位と上位をキープしていた。2020年の不振時は、打球速度の数値も大きく落ち込んだが、最初のMVPを獲得した2021年以降はMax、平均ともにリーグ最上位に躍り出たことがわかる。
秋山、筒香、誠也の速度の推移はどうなった?
同様に近年、MLBに挑戦した日本人選手の数値も見ていこう。
2020年にレッズに移籍した秋山翔吾。
2020年 167.4km/h=190位/194、平均137km/h=185位/194
2021年 173.8km/h=330位/404、平均139.2km/h=339位/404
1年目のMaxの打球速度は194人中190位、平均も185位。2年目は数字は向上したが、それでも404人中330位、平均でも339位。秋山はMLB在籍中1本も本塁打を打つことができなかったが、NPB屈指の安打製造機は、フライボール革命以降のMLBにはマッチしなかったと言えよう。
同じ年にレイズに入団し、ドジャース、パイレーツと渡り歩いた筒香嘉智。
2020年 175.3km/h=133位/194、平均145.2km/h=47位/194
2021年 178.8km/h=167位/404、平均144.2km/h=143位/404
2022年 172.8km/h=353位/411、平均142.9km/h=182位/411
1年目から2年目とMaxの打球速度は上がっているが、平均は下がっている。そして3年目は両方の数字がかなり下がっている。筒香は筋トレを否定し、自身のセンサー、バランス感覚を重視してバッティングする打者だったが、MLBの打撃スタイルには、今のところ、適応できていない。
対照的に――2022年カブスに入団した鈴木誠也は、こういう数字になっている。
2022年 179.1km/h=148位/411、平均144.2km/h=121位/411
2023年 188.4km/h=35位/403、平均147.1km/h=49位/403
1年目はMax、平均ともにリーグ中上位だったが、2年目に大きく向上。日本人の右打者として初めて20本塁打を記録した。
2022年オフに鈴木誠也は筋トレを行い、上半身が見違えるように大きく分厚くなった。そのためか、わき腹を痛めてWBCは無念の不参加となったが、シーズン成績は大きく向上した。打球速度を上げるためには、体重を増価させ、身体を大きくすることは必須とされるが、鈴木誠也はそれを実行してMLBの野球に適応しつつあると言えよう。
大谷の“最強ライバル”がジャッジである決定的数字
ところで、MLB公式サイトでこの数字を追いかけていて、すごいデータを見つけた。
2018年から2023年までの、ヤンキースのアーロン・ジャッジの打球速度の推移である。