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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「命を懸ける」「お前らには火の玉になってもらう!」モウリーニョ解任→ローマ新監督は元若頭…デロッシ40歳に“笑わない闘将”の風格
posted2024/01/23 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Takuya Sugiyama
「いい結果だった。感情の高ぶりも緊張もあったが、いい結果だった。前半はよかったが攻め込まれた後半は気に入らない。ローマは私に第2のサッカー人生を与えてくれた。どこまで続けられるかわからないが、私はすべてを捧げる」
ASローマの新監督として初陣となるセリエA第21節ヴェローナ戦に勝ったダニエレ・デロッシは、試合後も緊張を解かず、喜ぶ素振りをまったく見せなかった。「ファンの声援に応えることができて、これ以上嬉しいことはない」と口では言いながら、目は笑っていない。
勝利の余韻や喜びの感情を切り捨て、ただ次の戦いを見据える百人隊長のように低い声でゲームを振り返り、選手の負傷状況を説明し、厳しい眼差しで自分たちの戦法上におけるボールポゼッションの重要性を問いた。本当にデビュー戦で勝利した新人監督かと疑いたくなるほど、まるで浮ついたところがなかった。
軽い驚きとともに、やはり我々の知るデロッシはこうでなくては、という頼もしさが蘇ってきた。
ルカク、エル・シャーラウィ、ディバラが並ぶ前線
成績不振により前指揮官ジョゼ・モウリーニョが解任され、低迷する古巣ローマから招聘された元主将は、今シーズン後半戦での挽回を託された。就任からわずか5日、セリエA監督としての初采配に挑んだ。
1トップにFWルカク、1.5列目にFWエル・シャーラウィとFWディバラを並べた4-3-2-1のローマは、前半から気合いの乗った攻撃でヴェローナを圧倒。ルカクと主将ペッレグリーニがそれぞれエル・シャーラウィとの鮮やかな連係でゴールを奪った。後半に入り、相手MFフォロルンショの豪快なミドル弾から失点したもののその後の反撃をしのぎ切り、2-1でリーグ戦4試合ぶりの白星を飾った。中盤と守備の要であるMFクリスタンテとDFマンチーニを欠きながら、新指揮官デロッシは幸先良いスタートを切った。
我らがDDR(※デロッシの頭文字をとった愛称)の帰還を見逃してはならぬと満員の8万観衆で膨れ上がった本拠地「オリンピコ」は熱気に沸き、あらゆる応援スタンドに“おかえりDDR!”のフラッグがたなびいた。大声援も絶えず、名門人気クラブの新人監督としては満点のデビュー戦だったといえるだろう。
デロッシの行く手には茨の道が
ただし、デロッシの行く手には茨の道が待ちかまえている。