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“憎まれた名将”モウリーニョ60歳、ローマ電撃解任の背景…誹謗中傷ギリギリの毒舌と「若い頃は自分のことばかり考えていたが」別れ際の愛

posted2024/01/23 17:00

 
“憎まれた名将”モウリーニョ60歳、ローマ電撃解任の背景…誹謗中傷ギリギリの毒舌と「若い頃は自分のことばかり考えていたが」別れ際の愛<Number Web> photograph by EPA/JIJI PRESS

電撃解任を告げられ、ローマのクラブハウスを後にするモウリーニョ

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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 2000~10年代にかけてチェルシー、インテル、レアル・マドリー、ポルトなどに栄光をもたらしたジョゼ・モウリーニョ(60)。味方ファンに愛され、ライバルからは毒舌ぶりから“憎まれた名将”として敵役になったが、24年初春にローマから電撃解任を告げられた。その顛末と最後の言葉、指揮を引き継ぐかつてのレジェンド、デ・ロッシ(40)の今についてイタリア在住日本人ライターが記す。(全2回の第1回/第2回へ続く)

 ジョゼ・モウリーニョが永遠の都の指揮官の座から追われた。

 ASローマには、優勝トロフィー1つと欧州カップ戦のファイナル進出2回、そして満員のオリンピコ・スタジアムが残された。

 成績不振を理由にダン・フリードキン会長がモウリーニョを解任したのは、今月16日のことだ。2日前のセリエAで来季UEFAチャンピオンズリーグ出場権を争うミランを相手に3失点完敗。他の上位陣にも黒星を重ねてきたチームは20節終了時点で9位に沈んだ。

 1月10日のコッパイタリア準々決勝でも首都のライバル、ラツィオに0-1で敗れて大会敗退と失態が続いていた。米国人オーナーの堪忍袋の緒は切れたのだ。

モウリーニョがローマっ子の英雄になったワケ

 ただし、近年のローマでモウリーニョほど愛された外国人監督はいない。

 21年夏、イタリアへ舞い戻った“スペシャル・ワン”はローマの指揮官となった初年度に、新たに創設されたUEFAカンファレンス・リーグ(以下UCL)で優勝。61年ぶりの欧州タイトル制覇にロマニスタたちは喝采を送り、モウリーニョは一躍ローマっ子たちの英雄になった。

 2シーズン目の昨季はUEFAヨーロッパリーグ決勝に進出。セビージャ相手にPK戦で涙をのんだものの、モウリーニョはクラブ史上誰も成し得なかった2年連続欧州カップ戦ファイナリストという快挙を達成し、本拠地「オリンピコ」を満員で埋める熱気を再びもたらした。コロナ禍前に4万人を割っていたスタジアムの平均入場者数はUCL優勝後、6万人を超えている。

 だが、クラブオーナーのフリードキン一家は、リーグ3位の年俸総額を誇るチームと2番目の高額年俸(税抜800万ユーロ)を受け取るモウリーニョが上位陣との対戦でことごとく黒星を献上する惨状を見過ごせなかった。クラブ買収につぎ込んだ分も含めると、オーナー一家がこれまでASローマへ投資してきた金額は9億ユーロ(約1455億円)近い。

解任を告げられ、パトロンと激しい口論を

 指揮官の弁明癖もアメリカ西部の男フリードキンのお気に召すところではなく、現場との乖離は今季初めから始まっていた。昇格組ジェノアから4失点惨敗を喫した9月下旬の解任危機は乗り越えたものの、堅守をベースに攻撃は個人技頼みの戦術は硬直化し、ローマの低空飛行は続いた。

【次ページ】 “スペシャル・ワン”はサッカー界屈指の敵役である

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