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「注目されてつらい思いを…でも」ドルーリー朱瑛里をめぐる過熱報道に思うこと…異様な雰囲気だった全国女子駅伝、記者発表の舞台ウラ
posted2024/01/18 17:06
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
JIJI PRESS
情報を欲している人がいるから、アクセスが増えるから、世の中に必要な記事だから、視聴率が取れるから。記事やニュースを出す理由は様々だ。それぞれの媒体がそれぞれの大義名分を持って取材活動をしている。
1月14日に京都で開催された全国女子駅伝での一部報道陣の姿勢は、少々不可解なものがあった。
傷ついたドルーリー選手に寄り添う主催者
大会に先立って行われたオンラインでの記者発表で、それは起こった。
まず主催者から取材での注意事項、選手のプライバシーへの配慮を求めるお願いなどがされた。反論や異論を挟むものではない、ごく一般的な内容だった。
加えて昨年のこの大会で3区を走り、17人抜きで区間新を出したドルーリー朱瑛里選手の取材対応について説明があり、個別取材は禁止で、その代わりに共催社(テレビはNHK、ペンは京都新聞)が開会式、閉会式後に別室でそれぞれ代表質問をすると説明があった。
ほかの選手や関係者は開会式や閉会式の会場で取材をさせてもらうのだが、騒ぎや混乱を避けるためにドルーリー選手はそのような対応がとられることになった。別室での共催社による代表質問という形は、本人の負担を軽減するために主管の京都陸協、そしてドルーリー選手の地元の岡山の関係者が話し合って出されたようだ。
レースへの意気込みを文書で発表することもできたと思う。しかし報道陣を避ければ、会場外で追いかけられる可能性もあると考え、リスク回避のために取材に応じることにしたのだろう。代表質問の後に内容を共有してもらえるなら問題ないのでは、と呑気だったのは筆者だけだったようだ。
異様な雰囲気だった記者発表の質疑応答
質疑応答に入ると、それまでの空気が一転した。10問以上寄せられた質問の大半がドルーリー選手の取材の件だった。