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アジア杯日本代表・伊東純也と中村敬斗の“フランスで愛される日常”…日本語で「あなたは私のお気に入り」アジア杯でも期待の両ウイングを撮った
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/01/13 11:04
伊東純也と中村敬斗。アジア杯日本代表の両翼として期待される2人は、所属するランスでどのような戦いを見せているか
そして、もう一つ目を引いたのが観覧車。大聖堂からは一転して近代的かつ俗物的でもあったが、朝露に濡れた石畳の中心広場、静かに鎮座するそれに朝日が当たる姿は、なぜか街並みに調和しているように感じられた。また夜になると、観覧車と共に広場自体もライトアップされてクリスマスムードを高めていた。
そしてランスのスタジアムであるオーギュスト・ドローヌは、大聖堂から徒歩20分ほどの距離にある。1950年代から60年代前半にかけて、6度のリーグアン優勝経験のある古豪のスタジアムキャパは2万1000人強。隣接のファンショップで聞いた「iTO(ネーム表記はこうなる)のユニホームが一番売れているよ」との言葉を確かめるため、21時のキックオフ2時間ほど前に徒歩でスタジアムへ向かった。
だが、なかなか〈iTO〉の文字を見つけることはできなかった。いや、〈iTO〉だけでなく、ユニホーム姿のサポーターすら目にすることができなかった。ポツポツと時折雨粒も落ちてきており、ファンの出足は遅かったようだ。また最高気温すら10度を下回る寒さで、誰もが分厚いダウンを纏っていた。その下にユニホームを着ているのか、それは〈iTO〉なのか調べる術がなかった。
ちなみに当地では「いとう」と普通の日本語のイントネーションで言っても、なかなか通じない。最初は〈あまり知名度がないのかも!?〉なんて不安になったが、「い」にアクセントを付けて、日本人的には不自然な感じで〈iTO〉と言った方が伝わりやすかった、という次第。
伊東のスピードとキック精度、敬斗のカットイン
この日、キックオフ時間になってもやや空席の目立つスタジアムだったが、クリスマス時期だけに、チームカラーの赤と相まって、サンタ帽バージョンのチームの帽子を被るファンの姿が多くあった。
スモークの炊かれた中、選手が入場してくる。ランスの先発イレブンには、伊東、中村の両日本人選手の姿があった。3トップの右翼に入った伊東は、ライン側まで開きパスを受けると縦への突破を仕掛けてクロスを送る。
またセンターライン付近まで降りてボールを引き出す動き、ゴール前へ顔を出し、積極的にゴールへ絡もうとする様子がカメラ越しに分かった。FKやCKではキッカーを務める場面も多く、キック精度の高さも評価されているようだった。
一方で左翼にポジションを取った中村は、ボールを受けるとカットインからシュートまで持ち込む。右利き右サイドの伊東、右利き左サイドの中村ではプレースタイルが変わってくる。