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F1平川亮、F2宮田莉朋…F1から撤退したトヨタが今年、フォーミュラ最高峰に再びドライバーを送り出す理由 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2024/01/12 17:00

F1平川亮、F2宮田莉朋…F1から撤退したトヨタが今年、フォーミュラ最高峰に再びドライバーを送り出す理由<Number Web> photograph by Masahiro Owari

昨年11月のアブダビGPを訪れた平川。2024年はマクラーレンのリザーブドライバーを務めつつ、トヨタからWECに継続参戦する

「ご存じのとおり、私自身モータースポーツを個人的にも推進している一人で、モータースポーツを自動車の文化のひとつにしていきたいと考えてきました。今年の6月に代表取締役に就任してからは、立場が変わってしまったことをご理解頂きたい。昨年来の経済危機以降、F1を続けるか続けないか、社内でも議論をしてきました。(中略)今日、社内での取締役会で撤退せざるを得ないという判断に至りました。しかしながら、ここまで育てて頂いた関係者、応援してくれたファンに対して期待を裏切ってしまったことは自分自身残念だし、苦渋の決断だということを理解頂きたい」

 会社の将来を考えての社長としての判断に悔いはなかった。しかし、その結果として、F1で戦いたいという若いドライバーたちの夢を奪ったことは、いまに至るまで忘れることができなかったのではないだろうか。記者会見で当時F1に参戦していた中嶋と小林について質問された豊田会長は、厳しい表情でこう返していた。

「小林可夢偉選手が最後に2戦出場できたことは非常に良かったと思っています。2戦ではあるがF1を実際に走り、日本人として入賞し立派な戦いを示しました。その後、継続してチャンスを与えてあげられないことは大変申し訳ない。中嶋一貴選手も含めてまだ若いので、今年までの走りが評価されて彼らにチャンスがくることを祈りたいし、いろんな形で応援していきたいと思っています」

 F1から撤退した経営者としての豊田章男と、レース好きのレーシングドライバーである「モリゾウ」を切り離すことで、豊田会長はトヨタがF1にたとえ復帰しなくとも、F1を目指すトヨタ系のドライバーたちの支援を再開する道を拓こうとしたのではないか。

見えてきたF1への道

 23年のF1が閉幕した2日後、アブダビにはF2のテストに参加する宮田と中嶋の姿があった。中嶋にとっては、F1で最後のレースとなった09年以来、15年ぶりのアブダビ訪問だった。

「トヨタがF1から撤退した09年以降、今日まで『トヨタがF1をやっていない以上、トヨタの育成システムからF1を目指す』という空気がなかったことは事実です。でも、モリゾウさんには常にドライバー・ファーストという思いがあって、それがいま形になってきたんだと思います」

 中嶋はそう言ってモリゾウの決断に驚きつつも、自分が歩んできたF1への道を後輩たちが進み始めていることに喜びを隠さなかった。

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