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「髪型は自由」「伸ばしてもいいよね?」“女子バレー暗黙のルール”に疑問を抱いた古豪バレー部の改革「以前は耳にかかったらダメだったけど」
posted2024/01/11 11:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
1月6日、春高バレー3日目。時計が間もなく19時を指そうかという頃、準々決勝に勝利した旭川実業の選手たちが取材エリアに現れた。
どちらもフルセットまでもつれた大阪国際滝井、都市大塩尻とのダブルヘッダーを終え、北海道勢として31年ぶりのベスト4進出を決めた彼女たちを多くの記者が囲む。その中央に立つのは2試合で66得点という驚異的な数字を叩き出したエースの笠井季璃。今夏、U19日本代表でも活躍した主将が丁寧に取材へ応じる姿を横目に見ながら、リベロの石崎茉凛が嬉しそうに笑った。
「自慢の大エースなんです」
「うちの大エースです。『床上から10センチでも上げてくれたら全部カバーする』と言ってくれるし、きついボールもとにかく上に上げてつなげれば決めてくれる。ホントにカッコいい、自慢の大エースなんです」
笠井は“大エース”の称号にふさわしく、観る人を魅了する選手だ。前衛、後衛に関わらずどこからでも仕掛けるダイナミックで力強い攻撃はもちろん、守備も器用にこなす。周囲からエースと担がれるだけでなく、自ら自覚と責任を持ち、周囲をけん引する。レシーブやトスが乱れた結果、自身のスパイクが打ち切れずにブロックされてもすぐ右手を上げ「今のは私(が悪い)」と周囲へ声をかけ、すぐに「次の1点を獲ろう」とチームを鼓舞してきた。
憧れは男子日本代表の石川祐希。毎日、石川のプレー動画をチェックし「キャプテンとしての振る舞いも参考にしている」というのも納得だ。
だが、そんな“大エース”もさることながら、旭川実業の選手を見て、どうしても気になることがあり、石崎に尋ねた。
「髪の毛、長いよね?」