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「箱根駅伝は悔しいことばかりでした」櫛部静二監督の城西大が大躍進の3位…指揮官がチームに「もっと楽しく」を強調した“納得のワケ”

posted2024/01/10 06:03

 
「箱根駅伝は悔しいことばかりでした」櫛部静二監督の城西大が大躍進の3位…指揮官がチームに「もっと楽しく」を強調した“納得のワケ”<Number Web> photograph by L)Yuki Suenaga、R)Nanae Suzuki

大躍進で大学史上最高順位の3位に入った城西大の櫛部静二監督(左)。6区を走った久保出雄太(3年)は同好会出身の異色の経歴

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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L)Yuki Suenaga、R)Nanae Suzuki

第100回箱根駅伝で大学史上最高順位となる3位に食い込んだ城西大学。大躍進の原動力に挙げられるのが、不動のエースである山本唯翔(4年)と、チームに関わって23年になる櫛部静二監督の存在だ。彼らはいかにしてチームをここまで導いてきたのか。その秘密に迫った。(全2回の2回目/#1「エース編」から続く)

 懐かしい名前が箱根路にとどろいた。

 櫛部静二。1990年代の箱根駅伝を彩った名ランナーの一人であり、100回大会で城西大学を躍進させた監督である。

「そうそうそうそう、カッコよく映ってるぞ!」

「駆け抜けるぞーっ、中田、笑顔で! 一生、残るぞ!」

 1月3日、復路の10区も大詰めを迎え、大手町が近づくと運営管理車に乗る櫛部はアンカーの中田侑希(4年)に声をかけた。ここまで芦ノ湖をスタートした時の3位を4人で守ってきた。中田は顔を苦悶でゆがませながら、必死に腕を振る。

 櫛部は、後ろから東洋大が迫っていることに気づいていた。だが、危機感をあおらない。そっと後押しするような掛け声が響いた。

 すると中田は背中をピンと張り、ストライドもグンと伸びる。最初で最後の箱根駅伝である。力を振り絞り、両腕で握りこぶしを作ってゴールに飛び込んだ。同校史上最高の総合3位。待ち構えた仲間もガッツポーズで喜んだ。櫛部は目じりを下げ、感慨深げに言った。

「思うようにできたというのが正直な感想です。99回大会でシード権を獲って、1年かけてトレーニングの期分けをしっかりすれば、3番は行けるかなと。それが実際にできました。狙い通りでしたね」

前回大会以前から明言していた「100回大会での3位」

 城西大は01年に男子駅伝部を創設し、櫛部もコーチとして強化に携わってきた。09年からは監督に就いた。近年は山本唯翔(4年)ら実力者が揃い、手応えがあった。だから、22年11月、部員に明確なビジョンを伝えた。

「とにかく今回(99回)はシード権を獲って、100回大会で3位を目指そう」

 その言葉通り、99回大会は9位でシード権を確保し、足がかりを築いた。多くの主力が残り、上位校と持ちタイムを比較しても遜色がない。昨年の出雲駅伝は3位、全日本大学駅伝は5位と最高成績を連発し、機は熟していた。

【次ページ】 キーマンは「同好会出身」の叩き上げ

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