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「下着が出る心配も違和感もない」新レオタードを考案した杉原愛子に、保護者から届いた切実な感謝「娘のレオタード着用に抵抗がありましたが…」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byAsami Enomoto

posted2023/12/28 11:06

「下着が出る心配も違和感もない」新レオタードを考案した杉原愛子に、保護者から届いた切実な感謝「娘のレオタード着用に抵抗がありましたが…」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

レオタードに代わる選択肢として杉原愛子が製作した「アイタード」。本人に思いを聞いた

メリットは「下着が出る心配も、穿き心地の違和感もない」

 杉原が指摘したように、ロングスパッツタイプのユニタードは試合でいきなり着用すると練習の時と感覚が違ってくるというリスクが大きい。けれども、ハイレグタイプのレオタード一択という現状を変えたいという思いは募る。

 そこで考案したのが脚の付け根から2センチ以下という短いスパッツ部分を足した「アイタード」だった。

 男女とも体操競技のユニフォームには素材やサイズなどについて細かな規定がある。杉原によると、「女子は鎖骨のところが半分以上出たらダメとか、肩甲骨の下が出たらダメとか、脚の付け根から2センチ以下とか、厳しくルールが定められています。新型ウェアは規定に対応したものを(レオタード製作会社の)オリンストーンさんと打ち合わせをしながらつくりました。審判委員会にも規定内であることを確認済みです」とのことだ。

 日本では女子選手が練習する際にはレオタードを着た上からショーツ型のスパッツを重ねて穿いていることが多い。そのため、杉原が考案した「アイタード」なら普段の練習の感覚と変わらず、技を繰り出すときにも影響がない。

「全日本シニア選手権の時に初めてアイタードを着て試合をした時には、現場にいた選手や指導者の先生から『これ、めっちゃいいやん』という声を多くいただきました。『私も着たい』という声も多かったです。レオタードの時は下着が出る心配があったのですが、アイタードを着ればその不安はなくなりましたし、安心して動けるからストレスも少ない。練習通りにスパッツを履いてる感覚でできるから、穿き心地の違和感もありません。体操に集中できる衣装だと思っています」

「娘のレオタード着用に抵抗が…」保護者からの“切実な感謝”

「アイタード」をお披露目した後には、杉原自身が想像していなかった反響もあった。体操教室に通う子どもの保護者から「自分の娘がレオタードを着ることに抵抗があったので、説得して体操を辞めさせようと思っていたのですが、アイタードを見てからこれなら体操を続けさせられると思いました」というダイレクトメッセージが届いた。

「こういう考えもあるんだというのを初めてそこで気づきました。私自身は子どもの頃にレオタードが嫌だと思っていたことがまったくなかったし、当たり前だという固定観念しかなかったので、意外でした。だから、そういう面でも貢献できたという思いも生まれましたし、選択肢が広がるのは良いことだと思います。性的な面の予防にもなるんじゃないかなと思います」

 意外だった声はそれだけではない。

【次ページ】 パリ五輪では「アイタード」を着用するのか?

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