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「美も含めて、自信は100%です」安納サオリ“知名度急上昇”の裏にあった思いとは? 人気レスラーこれからの可能性「自慢の存在でありたい」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/11/17 11:01
スターダムではリーグ戦出場、OZアカデミーやセンダイガールズなどさまざまな団体で活躍を続ける安納サオリ
安納サオリが目指す“さらなる高み”
新人時代、白いベルトは雲の上の存在だった。自分には無縁だと思い込んでいたという。しかし5★STAR GPでチャンピオンのMIRAIに勝利。試合後、MIRAIはベルトを示して「もう一度」とアピールしてきた。
「ベルトのほうから私に近づいてきたんです。挑戦表明した時も、チャンピオンが大阪でのチャレンジャーを探していた。もともと挑戦する気でしたけど、ベルトに求められてる感じがした。だったら私は受け入れるだけ。人間関係もですけど、周りの環境って自分の鏡だと思うんですよ。今の安納サオリは白いベルトにふさわしいレスラーになれてるってことなんだろうなって」
チャンスは他にもある。OZでもシングル王座に挑戦表明しており、年内に挑戦者決定戦が行なわれる予定だ。11.23OZ沖縄大会では3WAY選手権に挑戦。すべて勝てばスターダムで白いベルトとタッグ、OZでシングルと3WAYという“2団体4冠”達成となる。もちろんそれは“可能性として”の話。しかし今の安納サオリにしか持てない可能性だ。
「いま思ってるのは、2023年を走り切ることですね。ベルト、滋賀大会、全力で突っ走りますよ。休みなんていらないです。体もメンタルも頑丈なので。落ち込んでも寝たら回復するタイプです」
今年どこまで行けるかで、来年の目標の高さも違ってくる。今年のテーマは“安納サオリのブランド力を上げる”こと。それができたという手応えがあるから、もっと高みを目指したい。
「今の状況は当たり前じゃないと思ってます。でも、当たり前にしていかなきゃいけないですよね」
安納サオリ「“美”も含めて、自信は100%です」
現時点でのプロレスラーとしての完成度はと聞くと「45%くらい」。スターダム参戦はキャリアの中でも大きな分岐点だった。知名度が上がるのを実感した。だからこそもっと実力をつけたい。もっと大きな会場で、もっとたくさんの観客に安納サオリを届けたくなった。
スターダムに出ていない時期、常に結果や選手のコメントをチェックしてきた。スターダムで輝く選手たちへの羨望も、スターダム以外で力をつけた自分への自信も、複雑な思いすべてが未来への伏線なのだと言い聞かせてきた。2023年は“伏線回収”がスタートした年ということになる。
ただ安納サオリのブランド力が上がれば上がるほど、スターダム以外での活躍も目立つことになった。どのリングでも安納サオリは安納サオリとしての輝きを放ち、舞台の大きさや対戦相手、シチュエーションに飲み込まれることがない。「自分が好きだからですかね」と安納は分析する。
「安納サオリの完成度はまだ45%。でも“美”も含めて、安納サオリへの自信は100%です。自分が好きになれないものを、お客さんに提供するわけにはいかないじゃないですか」
堂々と言い切るところもまた強さだ。レスラーとしての自分を“安納サオリ”と呼んで客観視した上での自信。そう簡単には崩れることはないだろう。