優勝したのは鈴季すず。「正直、感慨深いものがありました」と安納は言う。アイスリボンの新人だった頃のすずと対戦したことがあるし、すずが保持していたアイスリボンのベルトに挑戦したことも。後にタッグも結成した。そんな選手が頂点に立ったのだ。

「鈴季すずと向き合う楽しさを知ってますからね。プライベートでも仲が良かったですし。すずが優勝したことには悔しさもあるし心からおめでとうという気持ちもあるし（優勝者に贈られる）王冠とマントは私も似合うだろうなという気持ちも。いろんな意味で刺激をもらいまくりました」

“絶対不屈彼女”の自分らしさ

　リーグ戦が終わると、優勝できなかったことで味わう気持ちにこそ自分らしさがあると考えた。デビュー当時からのキャッチフレーズは“絶対不屈彼女”。悔しいからこそ「ここで諦めている場合じゃない」という気持ちが芽生えた。

「出る前にあったのは“出たい”、“勝ちたい”だけでした。でもリーグ戦を闘ってみて“悔しい”という感情が残った。スターダムの選手に対して“次に闘う時はこうしよう”というのも見つけた。今は漠然とした願望じゃなく具体的な感情がある。そうなった時のほうが強いんです、“絶対不屈彼女”は」

リーグ戦では白いベルト王者・MIRAIにも勝利　©STARDOM

　スターダムの選手たちと1vs1で向き合って知ったこと、感じたことは多い。プロレスラーになった時からずっと書いている「安納メモ」には、新たな項目がいくつも加わった。自分の試合を初めて見る観客たちに「これが安納サオリです」と胸を張れるだけのものを提供できた自負もある。だから余計に結果が重かった。決勝進出の可能性がなくなり、SNSで「脱落」の二文字を見た時は「ショックでした」とも。

「そこで気持ちを切らさずに、最終戦まで“安納サオリを刻む”試合ができたことでこの先につながるリーグ戦になったはず。もっともっと自分を高めなきゃいけないし、高めることができると思ってます」

レジェンドとのデスマッチも…怒涛の連戦

　その言葉通り、リーグ戦終了後も安納は動き続けた。5★STAR GP最終戦の翌週、10月7日にはセンダイガールズの新宿FACE大会に出場し、団体トップの一角であるDASH・チサコとシングルマッチ（時間切れ引き分け）。19日のスターダム後楽園ホール大会でMIRAIが持つ“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座に挑戦表明すると、翌日からはセンダイガールズの大阪→福岡2連戦に登場した。どちらもメインイベントだ。大阪ではシングル王者になったばかりの岩田美香とタッグを組み、福岡では対戦。チャンピオンとして自信をつけた岩田の印象は「ムカつくほどカッコいい」。

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