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「あれ? 思ったより差がついてるぞ」川内優輝がいま明かす、パリ五輪選考会MGCで“まさかの逃走劇” 「ペースが落ちてラッキーと思って(笑)」
posted2023/11/16 11:05
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Takuya Sugiyama
日本マラソン界で前人未踏の道を走り続ける川内優輝(36歳)が、130回目のフルマラソン・MGCで見せた存在感。独走劇からの鬼気迫る粘りに誰もが釘付けとなった。百戦錬磨のランナーは大一番にいかに立ち向かっていたのか。
発売中のNumber1084号掲載の[MGCの“主役”が語る]川内優輝「君たちは“自分のマラソン”ができるのか?」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】
発売中のNumber1084号掲載の[MGCの“主役”が語る]川内優輝「君たちは“自分のマラソン”ができるのか?」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】
「頑張れー!」
「負けるな!」
降り続く大雨の中、顔を歪めながら腕を振り、脚を動かしていく2人の選手に向けて大きな声援が飛び続ける。
10月15日、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。4年に一度、オリンピック代表を選考するためのレースは、40kmを過ぎ、最終盤を迎えていた。声援の主は、同日開催の東京レガシーハーフを走る市民ランナーたち。彼らはコースの反対車線から2人の背中を押し、対決を煽るかのような声を外苑西通りに響かせていた。
「川内! パリ五輪だぞっ」
「大迫、行けるよ!」
声援を受けたのは川内優輝と大迫傑。3位争いをする彼らの前には2人の選手がいた。優勝した小山直城(ホンダ)と2位の赤崎暁(九電工)だ。ただ、前を走る2人にはここまで大きな声援が飛ばなかったという。市民ランナーたちは確かな結果を残してきた2人に、より大きな敬意を払ったのかもしれない。スタートから独走を見せた36歳は、このシーンをこう表現した。
「かなりきつかったんですけど、すごく面白かったし、楽しかった。参加ランナーが多いから声援が全然途切れないんですよ」
川内優輝、4位。2時間9分18秒。
劇的な大逃げ「あれ? 思ったより差がついてるぞ」
国立競技場のプレスルーム。記者たちは口々に「面白かった」「MGCは最高の舞台だね」と言い合っていた。ドラマの主役は、見事な逃走劇で、ランナーに必要な意志と能力を見せつけた川内だった。