「お互いにいいライバルとして、お互いのプレーを尊重しているというか。『ここはこうだよね』とか、話もしましたし。Vリーグ中でも藤井さんのプレーを見て学んだ部分はたくさんありました。僕にはできないことをやってのける選手なので。そのよさをちょっとでも盗めたらなと思ってやっていました」

「僕にはできないこと」というのは、やはり藤井の代名詞であるクイック。特に、返球が乱れても、アタックライン付近からでも当たり前のように速く正確なBクイックを使い、決めさせられるところだった。だが今は、関田もそれをやってのけるようになっている。

「今は普通に上げたりとか、あまり気にせずできるんですけど、以前の僕はそんなレベルではなかった。基本的には言葉で聞くというより、自分の目で藤井さんのトスを見て、感じたことを、自分なりにやっていました」

今年3月に他界した藤井直伸さん（2021年9月アジア選手権）©︎Yohei Osada/AFLO SPORT

関田にどうしても聞きたかったこと

　肩の荷が下りたのか、最終戦後の関田は饒舌だった。今夏のネーションズリーグで銅メダルを獲得し、世界ランキング5位（現在は4位）で迎えた今大会は、相手が日本に対しチャレンジャーとしてなりふり構わず向かってくる難しさがあったという。

「今大会は特にそういうのを感じた。五輪切符がかかっているからというのもあるかもしれないですけど。ちょっと追われる立場になったなとは実感しつつあって。でもその意識は、僕たちにとって必要でないこと。僕たちはそこを意識すべきでない。むしろ僕らがチャレンジャーの気持ちを持って、どんどん積極的にやらないと、僕たちのよさは生まれない。そうでないと、より勝つことが難しく感じてしまうと思います」

　最後に、関田にどうしても聞きたいことがあった。五輪出場を決めたスロベニア戦の最後の1点のことだ。実際には、第3セットの24-18から、スロベニアのサーブがアウトになり、そこでゲームセットになったが、あのサーブが入っていたら、関田はどこを使うつもりだったのか。

スロベニアのサーブミスで試合終了。関田は最後の1本を誰に託すつもりだったのだろうか　©︎Yuki Suenaga

　ちなみに今大会初日のフィンランド戦の1本目は、石川祐希（パワーバレー・ミラノ）のレフトスパイク。その試合後、「あれは決めてました。スタートは、エースに持っていこうと思っていました」と明かしていた。

　では、五輪行きを決める最後のトスは――。

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