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「ショウヘイは今年も信じられなかった」「彼の才能に感謝」チームメイト、対戦監督が絶賛した本塁打王・大谷翔平「最高のホームラン」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/03 11:03
シーズン後半は怪我に泣かされながらも、ホームラン王を獲得した大谷翔平
敵将も絶賛…打者・大谷翔平の「今季ベスト」
さて、本塁打王・大谷の今季を語る上で忘れられないベスト・シリーズがある。6月12日から15日、敵地テキサスでのレンジャーズ4連戦で大谷のバットは「4戦4本塁打」含む12打数7安打8打点と火を吹いた。強烈な印象を残したその打撃に歴代10位、通算2093勝を誇る敵将ブルース・ボウチーでさえ舌を巻いた。9月25日、68歳の老将は今季印象に残る試合として口にしたほどだった。
「メジャーリーグで彼がやっていることは本当にクレージーだ。ベーブ・ルースまで遡る。マウンドでの素晴らしい投球も驚くべきことだが、特に我々の球場で(6月に)見せた打撃は信じられないほどだった。すごいパワーだった。私は少し年をとったが、まさかこんなことが見られるようになるとは思ってもみなかった。高校時代にフットボールでこういうことをやる選手がいたが、まさかメジャーリーグのレベルで同じことが見られるとは思ってもみなかった。彼の運動能力と才能にどれほど感謝していることか。言葉では言い表せない」
この日、奇遇にもボウチー監督と同じことを口にしたのはMVP3度の同僚、マイク・トラウトだった。彼はワールドシリーズ終了後にフリーエージェントとなる大谷について、「チームメイトとしてプライバシーを守ってあげればいい。彼が決めることだ」と慮った上で、「4戦4発」の離れ業を思い起こすかのように称えた。
「6月のテキサスシリーズは本当に凄かったな。見ていて楽しかったよ。翔平は今年も信じられないシーズンを送った」
ボウチー監督とトラウトが絶賛した理由
4連戦で残した打率.583、4本塁打。数字が突出していることを表している。だが、それだけではない。『百戦錬磨の名将』と尊ばれた老将と『21世紀最高の打者』の称号を贈られた打者が称賛したのには理由がある。
6月12日、大谷は4-5の7回に右腕アンダーソンが投じた内角低めの難しいシンカーを中堅左の2階席へ運んだ。飛距離459フィート(約140メートル)は『逆方向弾としては自身最長飛距離』の長距離弾に加え価値ある19号同点本塁打となった。
そして、5−5の延長12回には左腕ラガンズの高めのカットボールを上から被せるように左翼へ技ありの20号決勝2点本塁打。同点本塁打あり決勝本塁打ありのショータイム。大谷はその内容を喜んだ。
「打っているシチュエーションも良かったので尚更に嬉しいかなと思います。ボールの見え方も良かったですし、結果も良かったかなと思います」