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身長150センチ、華がスゴい“妖精”レスラーはなぜ“最強”を求めるのか?「鈍器で殴られたみたい」な敗戦でスターダム・なつぽいが見せた“意地”

posted2023/09/30 11:02

 
身長150センチ、華がスゴい“妖精”レスラーはなぜ“最強”を求めるのか?「鈍器で殴られたみたい」な敗戦でスターダム・なつぽいが見せた“意地”<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

センダイガールズの後楽園大会にて強豪・橋本千紘とシングルマッチを行ったスターダムのなつぽい

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 スターダムのシングルリーグ戦「5★STAR GP」の最終公式戦(9月30日、横浜武道館)で、なつぽいは中野たむと対戦する。

 ラスト1戦を前に、なつぽいはすでに優勝争いから脱落。ここで勝っても決勝進出はかなわない状況だ。それでも、なつぽいにとって重要な一戦。対戦するたむは、ともにタッグベルトを巻いたパートナーであり、所属ユニット「コズミック・エンジェルズ」のリーダーであり、スターダム最高峰のベルトであるワールド・オブ・スターダムを保持している。

 勝利という結果を残すことには大きな価値があると言っていい。なつぽいにとっては、この夏の総決算でもある。5★STAR GPで優勝することだけではない、重要なテーマがなつぽいにはあるのだ。

“妖精”と“強さの象徴”

 きっかけは、センダイガールズプロレスリングの橋本千紘だった。レスリングのベースを持つ、現在の女子プロレス界における“強さの象徴”のような強豪だ。なつぽいは橋本のツイートに思わず反応する。

「橋本さんのツイートに“強くなりたい理由はいくつあってもいい”と書いてあって。私はスターダムの中でも強さの象徴とは言えないし、強さイコールなつぽいと思ってる人はたぶん誰もいなくて。でも、強くなりたい理由はいくつあってもいいという橋本さんのツイートは凄く響きました」 

 なつぽいのキャッチフレーズは“妖精”。リングを華麗に舞うイメージだ。12年間打ち込んだバトントワリングでは全国大会に出場。機敏さや華のある動きはスターダムでも屈指と言える。

 そんななつぽいが“強さ”というワードに反応した。“華やか”とか“スピーディー”というだけではないもの、自分なりの“最強”を追求したいという心に火がついた。

「なつぽいの“最強”って何なんだろう」

「なつぽいって何なんだろう、なつぽいの“最強”って何なんだろう。みんなが思う“最強”となつぽいの“最強”は違うかもしれない。それを確かめる夏にしようと思ったんです」

 今まではほわほわーんと生きてきたんですけど、と笑うなつぽいだが、実はこうした姿勢こそ真骨頂ではないか。身長150cmでどんな闘いができるか、どうやって勝つか。デビューして以降、常に考えてきた。「フェアリー〇〇」と名付けた必殺技も多い。それだけプロレスに貪欲なのだ。2021年のインタビューで、なつぽいはこんなことを言っている。

【次ページ】 「“性格悪い”も褒め言葉」

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