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「耳の痛い話になるかもしれません」男子バレー・ブラン監督が明かした日本人論「選手たちは頷くばかりで沈黙する…それは仕事の放棄です」
posted2023/10/03 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Yuki Suenaga
現在発売中のNumber1081号掲載の[名将が語るニッポン改造計画]フィリップ・ブラン「若者たちよ、沈黙はいらない」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】
――今日のテーマはひとつです。ブラン監督がどうやって日本を変えたのか。その指導哲学をうかがいに来ました。
「哲学! 面白い。では私も本音で話すことにしますよ。日本人のみなさんにとっては耳の痛い話になるかもしれません」
――望むところです。
「私は2017年に来日しましたが、最初の2年間は暗闇の中にいました。打開策が見つからなかったのです。私はフランス、ポーランド代表を指導し、日本と対戦もしてきました。ところが日本のカルチャーについては何も知らなかった。来日してみて、選手とどうやってコミュニケーションを取ればいいのか、その方法が分からず、暗中模索が続きました」
――どのような問題がありましたか。
「日本の選手たちには監督と意見を交わすという習慣がなかったのです。私はこれまで指揮したチームと同様に個人面談を実施しました。戦術を説明し、私が選手に求めていることを伝えました。ところが、選手たちは聞くだけで、ひとつも質問をしてこなかった! 頷くばかりで、何を考えているのかさっぱり分からないのです」
――深刻ですね。
「チームを指導するようになって2度、面談を実施したのですが、選手たちの行動に変化は見られませんでした。私が要求した戦術、技術面に関して実行する態度が見られなかったのです。おそらく、その時は通訳が適切ではなかったのではないかと推測しています」
選手たちとの関係を改善するのに2年かかった
――言葉の問題が関わってくるのですね。
「3度目の面談の時がやってきて、私は説明する側ではなくなっていました。当たり前ですよ。これまで散々説明してきたんですから。『今度は君たちが話す番だ』と言い渡すと、選手たちはショックを受けたようでした。私が示した戦略についてどう考えているのか? そしてどう取り組んできたのかを彼らが話し始め、今度は私が耳を傾ける番になったのです」
――選手たちが主体的になる番ですね。