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男子バレー波乱の幕開けも「めちゃくちゃ悪いわけじゃない」コートで見た天才リベロが感じた“ズレの蓄積”とは?「原因を“細分化”すべき」
posted2023/10/03 17:20
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuki Suenaga
――ネーションズリーグで銅メダル、アジア選手権では金メダルと好成績を収めたことで、パリ五輪予選には大きな注目が集まっていました。しかし、フィンランド、エジプトを相手に1勝1敗。会場でご覧になっていた古賀さんはどのように感じますか?
古賀幸一郎(以下、古賀) 純粋に、スポーツの怖さ。チームというものは生き物なので、常に形が変わって生きています。今は良い面と悪い面の二面性が出ています。バレーボールというのは流れのスポーツなので、1つのプレー、1つのミス、1つの交代といった些細なことをきっかけに、ボタンの掛け違いが起こる。それが連鎖し、苦しい展開になったという印象です。
――日本は世界ランキング5位。それを下回る相手との対戦だったこともあり、「勝って当然」と見る人が多くいました。
古賀 フィンランド(29位)もエジプト(18位)も、力関係で行けば日本が絶対に上であることは間違いありません。では、力が下のチームが勝つために何をしなければならないか――それは、先行すること。なぜなら追いかけて、追い抜いて逆転する力はないから。だから、サーブで攻めるし、積極的な選手交代を行い、大胆な策を打つ。日本の天皇杯でも大学生のチームがVリーグのチームに勝つ事象が起こりますが、それもまさに同じです。サーブで攻め、ブロックで仕掛け、とにかく思い切りぶつかってくる。そういう相手を受けてしまう。エジプト戦はそういったことに対応できなければ負ける、という典型例でもありました。
「魔の第3セット」なぜ急変するのか?
――2戦とも2セット目までがほぼ完璧に近い展開だったのに、なぜ3セット目からあれほど崩れるのか。古賀さんが感じる原因は?
古賀 どちらの試合にも共通しているのは、交代して入ってきた選手への対応ができなかったことです。フィンランド戦ならば7番の選手(ニコ・スイーコネン)が、エジプトは23番(アハメド・オマル)の選手が途中から出場し、活躍しました。敵チームの戦術、戦略まで細かく把握していませんが、彼らは二番手、三番手の選手かもしれない。日本のスタッフ陣も(対戦国の)14名の選手に対して十分な情報を持ち、対策をしてきたはずですが、控え選手に対してやられたというのは手痛い事実でした。
顕著だったのはエジプト戦。スタートで出た22番(モハメド・イッサ・モスタファ)のアウトサイドヒッターは2mの身長を活かした高さと攻撃力で攻めるタイプ。少々荒々しいバレーになったとしてもフィジカルで前面に出した攻撃を目的とした起用だったはずです。対する日本は2セット目までこの選手をサーブターゲットにしたことで、面白いように崩れていました(第1セット25-14、第2セット25-10)。そこでエジプトは第3セットから22番を下げて、23番を投入。そこで日本はサーブターゲットを変えました。
――その結果、どのような事態が生じた?