- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
極秘交際7年、トレーナーと電撃婚…“ボクシング界の上戸彩”宮尾綾香が語る、徹底して交際を隠し通したワケ「電車も違う車両で移動してました」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/23 11:06
引退後に結婚を発表した宮尾綾香。じつはそのお相手はずっと指導してきたトレーナーだった
「世界王座に返り咲かせることだけを考えて、徹底して鍛えていました。軽い気持ちで付き合っていたわけではないです」
トレーナーの梅津が食事、家事全般を担当
ボクシング観の違いからときには意見を衝突させながらも、18年11月にはWBA女子世界アトム級暫定王座に就き、多くの挫折を乗り越えて、22年2月にはIBF女子世界アトム級正規王座を獲得した。
「正規王座に就いたときは、自宅に帰ってから2人で小躍りしました。そろってお酒は飲めないので祝杯はあげず、あの日の夜も映像で試合を見返し、喜びに浸っていました。寝る前に勝った試合を見返すのはルーティンだったので」
すべてがボクシング中心だった。同棲していたトレーナーの梅津が栄養バランスを考えて食事をつくり、家事全般もこなした。競技だけに集中できる環境を整えてもらっていたのだ。夕食時にはスパーリングで出た課題を話すことも多かった。
「私はボクシングだけを考えて生活していました。これも梅津さんあってのことだと思います」
入籍への抵抗感
現役時代は特に結婚にも興味はなく、引退後は生涯のパートナーとして、事実婚のような形でゆっくり暮らしていく将来も頭によぎっていた。
「紙ペラ1枚で何かが変わるのも怖かったので。正直、苗字を変えることにも抵抗がありました」
ただ、22年12月に引退式を済ませると、のんびりする間もなく、忙しなく動き回ることになる。
「一線を退いた後に、結婚する約束をしていたらしく(笑)。正直、私ははっきり覚えていなくて……。とりあえず、今年2月に籍を入れて、互いの両親に挨拶という感じでした。順番は逆ですけど、この年齢(40歳)ですから、そこについては何も言われなかったです」
夢より妻を優先した梅津トレーナー
いまから11年前の9月16日、初めて世界王者の称号を得たときには想像もできなかった。当時、その2日前に結婚を発表した上戸彩について記者から話を振られ、「チャンピオンになれて私も幸せです」と話していたことを懐かしんだ。
「そんな私も結婚しましたね(笑)。好きな人と一緒に好きなボクシングを仕事にできています。今はチャンピオンじゃなくても、すごく幸せです」
柔和な笑みを浮かべて宮尾が後ろを振り向くと、忙しなくジムの営業準備をしていた梅津が手と足を止めた。宮尾の担当トレーナーを務めたことで独立の夢を6年遅らせ、46歳で念願のジムをオープンさせたという。「お前のせいだよ!」と言いながらも、妻を見る目には優しさがにじんでいた。
<「上戸彩と呼ばれて」編とあわせてお読みください>