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「タイガースに入団してよかった…」28歳で早逝、横田慎太郎が語っていた“阪神への感謝”、それでもアカデミーコーチ就任を固辞した理由
text by
横田慎太郎Shintaro Yokota
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/16 11:03
2019年、引退のスピーチを行う横田慎太郎さん。引退をしてからも阪神球団との交流は続いていた
「おまえは幸せ者だぞ」
本当にそう思います。球団からは、母にも2週間に一度は「慎太郎くんはどうしていますか」と連絡が入るそうです。
タイガースに入団してよかったと、あらためて感じています。
引退試合以来、一度もボールを投げていません
「もう一度野球をしたいと思いませんか?」
いろいろな人から聞かれるのですが、僕はいつもこう答えます。
「いまは全然思いません」
事実、引退試合以来、一度もボールを投げていません。ボールもバットもグローブも部屋にはなく、タイガース時代に使っていた用具は全部実家に送りました。
病気になったときは、あれほど「野球、野球」と言っていたのに、いまは不思議とそんな気持ちはわいてきません。もちろん、野球のおかげでいまの自分があるわけで、野球に対しては感謝しかありません。
アマチュア野球資格回復した理由
あえて言うなら、あの引退試合のバックホームで、野球人・横田慎太郎としてはひと区切りがつき、社会人・横田慎太郎のスタートが切れたという感じでしょうか。
もちろん、野球に関わっていきたいという気持ちがわくときがいずれ来るかもしれません。実は、アマチュア野球を指導するために必要な学生野球資格も研修を受けて回復しました。父にすすめられたのです。