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巨人ドラ1ルーキー・浅野翔吾に、原辰徳監督があえて苦言? 初本塁打を絶賛しつつ「絶対にダメ」と語ったプレーとは…原監督流の“英才教育”
posted2023/08/30 11:20
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
1勝2敗。
巨人にとって本拠地・東京ドームでは今季最後となる8月25日からの阪神3連戦の結果である。連敗で迎えた第3戦は、どうにか8回に岡本和真内野手の決勝タイムリーで勝ち越して一矢を報いることができたが、1、2戦はボロ負けだった。改めて首位を快走する阪神と勢いだけではない、チーム力の差を見せつけられる3連戦となった。
象徴的だったのは初戦の負け方である。
何が象徴的だったかといえば、この試合で6本の安打のうち3本を放ったのが秋広優人内野手だったということが1つ。そしてもう1つは主軸を担うはずの坂本勇人内野手は1点を挙げてなお2死満塁のチャンスで見逃し三振、6番の丸佳宏外野手は1、2打席に全くタイミング合わない2三振を喫して5回途中に交代したことだった。
順調にチームの世代交代を果たして快進撃を続ける阪神と、世代交代が停滞する巨人との差。そのことを改めて突きつけられた無惨な敗北だったということだ。
「5年周期ぐらいで世代交代が進んで、新しい選手が出てこなければチームはうまく回っていかない」
昨年、「勝利と育成」の方針を打ち出した原辰徳監督が、こう語っていたことがある。3度目の監督に復帰した2019年からリーグ連覇を果たして、昨年が4年目だった。だからこそ5年周期の5年目を睨んで「育成」というテーマを掲げたのだが、思惑通りには進まなかったのは周知の通りである。
理由は様々だが、1つ言えるのは一軍レベルまで若手選手の力を引き上げることができなかったということなのだ。
「とにかく使わなければ育たない」とお題目のように唱える一部の評論家もいるが、果たしてそうだろうか。
原監督「秋広は、独特の打撃スタイルを持っている」
1つには絶望的な状況でも勝利を目指すことを放棄できないという巨人というチームの宿命があるのは確かだ。ただ、それ以上に一軍のレベルにない選手をムリに使い続けることが、成長につながるのかということがある。それなら状態を見ながら、好調な時に抜擢して一軍経験を積ませながら、調子が落ちてきたら課題を持ってファームで鍛え直す。そうすることで選手は階段を登れるし、そこで登れない選手は、やはりまだまだ一軍で戦うレベルにはないということである。