フリー転身後の大きなトピックは、テレビ朝日系『報道ステーション』スポーツキャスター就任だった。月〜金曜の毎晩、生放送で日々行われたスポーツニュースを丁寧に伝えている。

「最初はレギュラーではなく、夏限定なのかと思っていました（笑）。ずっと見ていた番組でしたから、就任が決まった時は頭が真っ白でしたよ。でも、どうしようという不安よりも『いろいろなジャンルのスポーツに携われる』という嬉しさの方が勝ちました。先日は初めてフィギュアスケートの現場にも行けましたし、世界水泳、さらに今年はバスケットボールとラグビーのW杯もある。楽しみしかないです」

　もともと野球への興味を持ったのが阪神マートンとの会話から始まったように、ヒロドのポリシーは「まずは人から」。取材前はあえて競技の細かいルールなどには触れず、担当ディレクターが集めた情報や過去のインタビューなどから選手の横顔やキャラクターを掴んでいく。どんなジャンルでも、選手の人となりから競技の核心に迫っていくことがヒロドの取材スタイルだ。

「そのほうが視聴者も入っていきやすいと思うんです。もし仮にその競技を知らない人であっても、選手が魅力的に映れば応援しようとなるかもしれない。私がそこの橋渡しになればと意識しています」

スペシャリストと毎晩生放送

　取材がない日でも午後にはテレビ局入りして、毎晩の生放送に向けた準備を始める。そんな慌ただしいサイクルでも『熱闘甲子園』で培った経験が多分に生かされた。

「（熱闘甲子園で）夜の番組のリズムを掴めていたので、大変さはなかったです。毎日違う競技を扱うことも、毎日違う学校が登場していたのと同じなんですよ。それに野球のことは古田さんが助けてくれたように、『報道ステーション』でも寺川綾さん（水泳）とか内田篤人さん（サッカー）といったスペシャリストの方々がいる。本当に毎日楽しいです」

　ヒロドが今、最も注目するのはバスケットボールだという。W杯を控えた取材が増えたことだけでなく、以前ABCテレビ時代に担当していた『サンデーLIVE!!』でメインキャスターを務めていた東山紀之がバスケットボール経験者だったこともあり、番組内でよく取り上げていた。

「バスケットボールは展開が早いし、とにかく選手たちの躍動感がすごい。残り0.1秒で逆転、という漫画みたいなシーンも本当にあるんですよ。根っからの『野球は9回2アウトから』タイプなので、余計にそのドラマチックな展開に魅せられますよね（笑）。日本代表の活躍にも期待しています」

　自身のバイタリティはもさることながら、共演者との良好な関係を築くこともヒロドが番組で重宝される理由かもしれない。

　ABC局アナ時代はバラエティ番組でも引っ張りだこで、長寿番組『朝だ！生です旅サラダ』のアシスタントに加わったり、『M-1グランプリ』の中継レポーターとして活躍した。中でも現在のスポーツキャスター業に生かされていると語るのが、ダウンタウン浜田雅功との共演だった。

（つづく）

#3に続く

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