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両親に「陸上はいいけど、婚期を逃すのだけはやめてね」と言われ、中学生で“30歳引退”を決意…森智香子30歳が明かす「それでも引退を撤回した理由」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/08/13 17:02
中学の頃から「30歳で引退」という競技人生を思い描いていた森智香子(積水化学)。一体、どのような変化があり、30歳の今も現役を続けることになったのか
「メインの3000m障害が終わったことで5000mは気楽な感じではないですけど、無欲で走れたんです。そうしたらいけちゃった感じで、監督もビックリして、3000m障害の2位以上に喜んでくれました。この時、本当に続けてよかった、やめなくてよかったと思いました」
日本選手権で上位に入賞し、まだやれることが確認できた。7月のアジア選手権では3000m障害では初となるジャパンのユニフォームを着て走り、5位に入賞。チームジャパンで仲間と過ごす中、改めてこの舞台で戦いたいという気持ちが強くなった。
楽しいのに、わざわざやめる必要はない
「目標の世界陸上には行けなかったんですけど、久々に世界を目指して取り組めたということが楽しくて、ここまで戻ってくることができました。本当に走るのに疲れた、もういいかなっていう気持ちになったらやめようと思うんですけど、今は走るのがすごく楽しいんですよ。楽しいのに、わざわざやめる必要はないかなって思っているので、少なくとも来年は走っていると思います」
森は、そう言って笑顔を見せた。
笑顔で走るのは、森のスタイルだが、それは沿道やスタンドからの応援の声があるからだという。だが、そういう声が届くのは、きっと走りを楽しんでいる森の姿勢が見ている人に伝わっているからに違いない。
森智香子(もり・ちかこ)
1992年11月25日、長崎県生まれ。諫早高、大東文化大を経て、2015年積水化学入社。2017年日本選手権女子3000m障害で優勝。今年6月の日本選手権では同種目2位、5000mで5位に。7月のアジア選手権に出場し、3000m障害で5位入賞。159cm
<「原点」編とあわせてお読みください>
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