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両親に「陸上はいいけど、婚期を逃すのだけはやめてね」と言われ、中学生で“30歳引退”を決意…森智香子30歳が明かす「それでも引退を撤回した理由」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/08/13 17:02
中学の頃から「30歳で引退」という競技人生を思い描いていた森智香子(積水化学)。一体、どのような変化があり、30歳の今も現役を続けることになったのか
よくママになってもと言われますが…
森は、逆算することで競技への集中力を高め、やり切ろうとしたのだろう。ただ、最近はアスリートの年齢が上がり、30歳を超えても現役を続ける選手が増えている。陸上でもハードルの寺田明日香は母親として、子育てを行いながら33歳で日本のトップに君臨している。同じチームの新谷仁美も35歳で長距離界のトップを走る。だが、女性の場合は加齢していくと個人差はあるがホルモンバランスが崩れて競技に影響が出たり、結婚出産というライフステージを考え、30歳をひとつの節目にしている選手も多い印象だ。
「よく『ママになっても』といわれますが、私の性格的にはそれは想像できないですね。競技復帰を考えるのであれば、前田(彩里・ダイハツ)さんのように20代で出産できたらいいのですが、私の今の年齢で出産して戻ってくると30代半ばとかになってしまうので復帰するのは難しいと思います」
疲労度、生理…変化と対策
30歳になり、肉体の変化も感じている。
「疲労度とか、やっぱり実業団に入った23歳前後の頃に比べると違いますね。若い時から続けてきたトレーニングも、ずっとやってきたものを変えることに抵抗はあったんですけど、体は変化しているのに同じことをやっていてもダメだなと思い、取り組んでいます。生理ももともと重くて、走りに露骨に影響が出ていたんです。自分は変わっているつもりはないんですけど、生理の日になると腰が引けて、動きも崩れてきます。ピルなどを取り入れたりしたんですが、トータルで見ると合わない部分が大きいのでやめました。今は、ミレーナを使用して大会に向けて、どうなるのか試しています。こうしたことは若い選手は知らないことが多いので、情報としてもっと広まっていくといいですね」
監督に引退を告げ、迎えたクイーンズ駅伝
2021年の年始、森は野口監督に「今年か来年でやめます」と伝えた。