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格闘技PRESSBACK NUMBER
最愛の息子の死、そして難病…ヒクソン・グレイシーは過酷な運命をどう受け止めたのか? 旧知のカメラマンに届いた“あるメッセージ”
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2023/08/19 17:02
パーキンソン病を患っていることを公表したヒクソン・グレイシー。長男の死や病魔といった苦難に、“最強の男”はどう向き合ってきたのか
ヒクソンが好んでサインに入れていた言葉がある。「STRONG SPIRIT」。どれほど過酷な現実に直面しても、それを受け入れ、痛みを噛み締めながら力強く生きていくこと。その生き方は、単に乗り越えることや立ち直ることよりも、ずっと難しいのかもしれない。
ヒクソンからのメール「一緒にアサイーを」
パーキンソン病を公表したインタビューで、ヒクソンは今後についてこう語っていた。
「私はこれからも柔術のために働き続けて、人々に力を与えていきたい。柔術を必要とする人たちが、それをもっと身近に感じられるように変えていきたい。ですから、私は真っ青な海を自由に泳ぎ、あまり心配せずに次の日を待つ自分を見つめています」
病状に関するコメントはポルトガル語を英語に訳しているものを、私なりの解釈で日本語に要約させてもらった。思うに、ヒクソンは以前と大きく変わることなく、自然体で事実を受け止め、いまできることを続けている。
病気を公表したヒクソンに久しぶりにメールをしたところ、すぐに返事が返ってきた。その一部を抜粋させてもらう。
「病気になったという診断を除けば、私はいつもと同じように元気にしています。いまは不平不満を言うよりも、幸せで感謝することの方がはるかに多いですね」
ヒクソンはメールにこう付け加えていた。
「もしロサンゼルスに来ることがあれば知らせてください。一緒にアサイーを食べましょう」
<前編から続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。