ボクシングPRESSBACK NUMBER
6歳の井上尚弥が叫んだ「約束する。俺は強くなりたいんだ!」軽自動車を素手で押し上げ坂道を…父・真吾さんが明かす“最強”の子育て〈原点秘話〉
text by
谷口隆俊(スポーツ報知)Takatoshi Taniguchi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/07/26 17:02
父と子、幼少期から二人三脚で励んだ血の滲むような練習が井上尚弥の原点だ
尚弥が高校を卒業してすぐに、アルバイトをさせたこともあった。品物を梱包し、それを仕分ける仕事だった。プロボクサーになる直前の短い期間だったが「どこかに勤めて、そこのルールで仕事をして、お金をもらうということを味わってもらいたかった」と話す。
曽祖母は90歳超えても毎日腹筋300回
実は真吾さんもまた、家族の大きな背中を見て、生きてきた。真吾さんの母方の祖母(尚弥の曾祖母)・文子さんは自営のほか、病院での調理など様々な仕事で家計を支えた。真吾さんが10代の頃に取っ組み合いのケンカもしたという祖母の体力は、90歳を超えても腹筋を毎日300回こなしたというエピソードを生んだ。母のまり子さんも大型免許を取得して仕事をして真吾さんらを育てた。祖母、母から受け継いだ生き方を、真吾さんは子どもたちに引き継ぎたいと思った。
尚弥に反抗期は“無縁”だった。両親には、子供は目の前のことに納得できないから反抗するのであって、納得できれば反抗する必要はないという思いがあった。「自分はいつも子供の味方という気持ちが強い」と言う真吾さんは「子供たちのために何をやればいいんだろう」と常に考えている。
「そういう気持ちが伝わればいい。子どもたちが何かをして怒られたとしても、何で怒られたのかが分かれば、彼らには反抗する必要がないですから」