「スーパーバンタム級なら、あの井上選手のパンチにもう少し耐えられる選手が出てくるかもしれない。今までだとあまりに井上選手が強いので、あっという間に終わるか、相手の心が折れるか、防戦一方になるか、という試合がどうしても多かった。僕はもっと井上選手のボクシングが見たいんですよ。耐久力のあるスーパーバンタムの選手が相手だったら、今までとは違う試合が見られるかもしれない。そう思うんです」

2022年6月、ドネアとの再戦で2回TKO勝利を収めた井上尚弥　©Takuya Sugiyama

井上尚弥の「奥深さ」を味わえる試合に？

　井上が階級の壁を突破してフルトンを下せば、4団体統一に向かっていくことだろう。ただし、バンタム級までのように“爆発的で、圧倒的な結末”になるとは限らないのではないか。これまでの井上はその実力を十分に発揮しなくとも、試合を終えることが多かった。しかしこれからは、今まで見ることのできなかった井上のボクシングの奥深いところを見ることができるかもしれない。長谷川さんはそこに期待している。

　まずはフルトン戦である。確かな技術を持ち、試合巧者でもあるフルトンを相手に井上がどのような戦いを見せるのか。井上本人も、私たちも、今までにない緊張感を持って試合開始のゴングを聞くことになるだろう。

＜前編から続く＞

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