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「30キロ以上重い」ナイチンゲールと名勝負を繰り広げ…ジュリアが奪取した“新日本プロレスのベルト”の価値「世界中の挑戦者と戦ってやる」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/07/14 17:03
7月9日の後楽園ホール。ジュリアは5日にウィロー・ナイチンゲールから奪取したSTRONG女子王座のベルトをファンに披露した
海外に広がる「JOSHI Pro-Wrestling」
8月27日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで8万8000人札止め予定のビッグマッチ『AEW All In』があるが、「まさか」がないとも言えないだろう。ジュリアがアメリカで戦うリングで有力視されるのはもちろんNJPW STRONGとAEWのリングだ。またインディーだが、あのデスマッチで有名なGCW(Game Changer Wrestling)もあるかもしれない。現に林下詩美が今月そのリングに上がったばかりだ。
アメリカのマニアは、日本の女子プロレスを「Women’s Pro-Wrestling」ではなく「JOSHI Pro-Wrestling」と呼んでいる。それだけ日本の女子プロレスが世界に浸透しているということで、かつての全女のスター豊田真奈美や、今でも現役だがアジャ・コング、仙女時代からの里村明衣子などは海外でもレジェンドだ。彼女たちを見てプロレスラーになったスターも多い。モネも日本の女子プロレスをリスペクトしている。
今、アメリカでちょっとしたムーブメントが起きている。何かが発表されたわけではないのだが、アメリカで日本の女子プロレスの新しいプロモーションができて、9月にはニューヨークで試合をするのでは……ともっぱらの噂だ。
一方、スターダムのリングではジュリア、朱里らと、上谷沙弥、舞華らによる「世代闘争」が行われているが、まもなく『5★STAR GP』も開幕する。ジュリアは昨年の『5★STAR』優勝から赤いベルトを獲得し、そして今年になってSTRONGのベルトと、この大会をきっかけに運を味方につけた。だが、今は追われる立場のジュリアと追う立場のジュリアが交錯している。
2連覇を目指すジュリアだが、楽な戦いにはならないだろう。7月23日、大田区総合体育館での開幕戦で安納サオリと、8月26日の名古屋国際会議場では白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)を保持するMIRAIと、9月9日の後楽園ホールでは舞華と、そして最終戦となる9月30日には横浜武道館で林下と当たる。
「世代なんちゃら、みんな強かったけど、ジュリアは2冠チャンピオン(STRONG王者とアーティスト王者)。まだまだ勝ちを譲るわけにはいかないんです。『5★STAR』で当たるあいつらもそうだし、今日組んだやつら(中野たむ、岩谷麻優、朱里)もそう。私はしっかり私の戦いを見せて、そして(岩谷麻優の)IWGPとSTRONGのベルトの違いも、私なりの防衛ロードで見せつける。私は私のやり方で先にどんどん進んでいくだけ。アリベデルチ、またな」
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