- #1
- #2
濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
キャッチフレーズは「戦うグラビアアイドル」…異色の女子プロレスラー杏ちゃむの“武器”「私、おじさんキラーみたいで(笑)」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/06/30 11:00
“戦うグラビアアイドル”のキャッチフレーズで活動している女子プロレスラーの杏ちゃむ
「長野出身で頑張ってる女性を応援したい」
そんな言葉でグレート☆無茶に誘われて、信州プロレスの女子部門、信州ガールズプロレスリングに所属することに。といっても住んでいるのは東京だから、東京の団体で練習をさせてもらった。
「入団して、気がついたらデビュー戦が決まってた」
「入団して、気がついたらデビュー戦が決まってたんですよ。もうポスターができ上がってて。しかも試合まで2週間しかない。そこから猛練習です。1日8時間とか。それでも急に強くはなれないですから」
無茶と組み、女子プロレスの最前線で活躍するさくらえみ&里歩組と対戦。内容は「ボロボロ」だった。プロレスマニアだったからこそ、自分の“できなさ”もよく分かった。
「そりゃそうですよね。2週間しかまともに練習してないんですから。でも急なデビューも厳しいカードも代表の狙いだったみたいです。当時の信州ガールズは選手が少なかった。大会に東京の人気選手を呼んでも、相手になる地元のレスラーがいないんですよ。
地元で働きながらプロレスをやってる人も多い団体なので、代表としては本格的な女子選手がほしかった。それで東京で練習できる私に期待したそうです」
「現役グラドルのプロレスデビュー」の話題性と反感
内容はともかく「現役グラドルのプロレスデビュー」は話題になった。2戦目以降のオファーがさまざまな団体から届く。代表も「経験を積むといいよ」と送り出してくれた。
「でもそれが大変で。だってまだ何もできないんですよ。プロレスは相手あってのものなので、未熟な選手は試合のクオリティに影響してしまう。迷惑をかけちゃうんです。しかもグラビアの仕事をしてるから、余計に反感を買っちゃって。“何もできないくせに”、“プロレスラーが女を売りにして”みたいな」
一度貼られたレッテルはなかなか取れない。悔しかったから、とにかく練習した。自分の個性を出す方法も考えた。そんな中で大きかったのが、石川雄規との出会いだ。“プロレスの神様”カール・ゴッチに学び藤原喜明率いる藤原組でデビュー、「格闘探偵団バトラーツ」で独自のファイトスタイルを確立した石川はグラウンド、関節技に秀でており、カナダで指導者をしていたことも。
「ある興行でなかなか対戦カードが決まらない時に、石川さんが手を挙げてくださったんですよ。ご挨拶させてもらったら凄く気に入られて。自分で言うのも変ですけど、私“おじさんキラー”なところがあるみたいで(笑)。
練習にも誘っていただいたんですけど、本当にゼロから丁寧に教えてもらいました。下ネタもまじえながらなんですけど。でも試合を見たら“この人の関節技はヤバい!”って。単なるエロオヤジじゃなかったんだと思いました(笑)」