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「ロコ・ソラーレには全員パートナーがいた」世界選手権・銀メダルペア、北海道の谷田康真が“軽井沢の才媛”松村千秋と組んだ理由「何でもできる女性で…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byWCF / Eakin Howard
posted2023/06/24 17:00
ミックスダブルスでは初となる世界選手権のメダルを獲得した松村千秋・谷田康真のペア。谷田から誘って組んだというペアの成り立ちを聞いた
「このときは準備期間が1カ月くらいあって、いい練習をして臨めた大会でしたが、もっと長い時間をかけて準備できればもっといい成績が出せるんじゃないかと思いました」
そして谷田は、ある決断をする。それは「4人制をやめてダブルスに専念する」ことだった。
「前シーズンの12月の最終予選でコンサドーレも敗れてオリンピックの道が途絶えて、チームの中でいろいろな話し合いをしていく中で僕自身も考えました。次のシーズン、どちらも頑張ろうとなるとダブルスにはそんなに力を入れられないだろう、4人制もダブルスもどちらも日本代表になったとき、どちらも不完全燃焼のまま終わってしまう、それがすごく怖かったです。5月に行われた日本選手権の4人制で3位という結果になって、どちらに比重を置いていくべきなのか、どちらで行ったらいいのか悩んで。期間で言うと、12月から5月までいろいろなことを考えて6月に決断しました」
退団と覚悟を松村に伝えると…
ただ、決断にあたってパートナーを組む松村には相談しなかった。
「僕自身が態勢を整えていないのに『ダブルスをやりたい』と言うのは順番として違うかな、と」
それは谷田の誠実さであった。
谷田は遠征などで休むときを除けば、籍を置く北海道クボタで働いている。まずは勤務先に了承を得る必要があった。相談すると「やってみろ」「頑張ってこい」と背中を押してもらえた。
コンサドーレを退団し、退路を断つと松村に告げた。