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「昔の羽生(善治)さんが戻ってきた」“藤井聡太との王将戦名局”番組Dが語る制作ウラ話「WBCあったので、野球のたとえでいいですか?」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byNHK
posted2023/06/01 11:02
王将戦で藤井聡太王将と名勝負を繰り広げた羽生善治九段
「実際、王将戦のシリーズが終わった後にインタビューをしたら、将棋の多様性についての話が出てきました。羽生さんは『AIとは絶対に向き合わないといけない』という話をするのと同時に『その中でも人間の可能性を捨ててはいけない』という気概に、感銘を受けましたね」
52歳にして羽生が見せた新境地。かつては記録係として見つめ、今回は取材者として藤井との対局を間近で追ったからこそ、田嶋には感じるものがあった。
藤井将棋を対局相手視点で見つめた際に…
ピントの合わせ方によって、取材対象を取り囲む人間もまた、別の色彩を見せることがある。今回の特集番組で特徴的だったのは、藤井聡太という人物が主人公ではなく、「羽生の対局相手」として描かれた点である。その視点から見た際の藤井、そして32歳差の天才2人に、共通点や違いはあるのか――それについて聞いてみると、こんな風に返ってきた。
「自分としては2人の中で凄く違うと思うところがあって……将棋って攻めるか、守るかで迷う場合がたくさん出てくるんです。そこで傾向が変わってくるように感じるんです」
それはいったい、どういうことなのだろうか。<#3につづく>
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