濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
初の写真集は「ちょっと恥ずかしいけど…」スターダムで戴冠の人気女子レスラー・安納サオリが出会った“知らない自分”「誰とも違う存在でいたい」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/05/27 11:00
スターダム参戦に続き、初の写真集発売でも話題を集める女子プロレスラーの安納サオリ
スターダム参戦で増えた“新規ファン”
写真集を出すなんて、役者を目指して上京した頃には考えられなかったことだ。プロレスラーとして頑張ってきたからこそだと安納は考えている。
「プロレスを始める前の私は、夢を追っているけどどこにでもいるような女でしたから。自分でも、私の人生面白いなって思いますね。プロレスを知ったから知れた自分がいます。“私って、闘って痛い思いをすると燃えるんだ”とか」
スターダム参戦の影響でSNSのフォロワーも増加。スターダム以外の団体での「売店」(グッズ販売に伴うサイン会)の列も伸びている。それだけ新規ファンも多いのだ。
「スターダムがきっかけで私のことを知って、スターダム以外の団体も見に来てくれるのは凄く嬉しいです。安納サオリを知らなかった方がたくさんいるってことでもあるから、これからのことも楽しみですし」
ここまでのスターダムでの闘いで、初対戦の選手が何人もいた。とりわけ葉月とのマッチアップは「燃えました」と言う。
「シングルでもやりたいですね。葉月選手だけじゃなく、スターダムは対戦したことがない選手ばかり。毎回、新鮮です。ファンの方たちにもその感覚を一緒に味わってほしい。実は、特に当たってみたい相手もいるんですよ。まだ内緒ですけど……」
スターダムで果たした“再会”
一方で“再会”もある。アーティスト王座を獲得したのはKAIRI、なつぽいとのチーム。なつぽいはデビューした団体アクトレスガールズの同期(1期生)だ。KAIRIは新人時代の安納となつぽい(当時のリングネームは万喜なつみ)がスターダムに参戦した際、多くを教えてくれた。
「KAIRIさんと組んでいると、とにかく安心です。特に今回は“安納ちゃん、行ってこい!”と背中を押してくださった気がします。なつみとはびっくりするくらい息が合いました。同じリングに上がるのは4年ぶりとかなのに。“なつみ!”って呼ぶだけで何をしてほしいか伝わるし、私も“サオリ!”って呼ばれたら何をすればいいのか分かるんですよ。試合が終わって、思わずお互い顔を見合わせちゃいましたね」
試合は安納が3カウントを奪って勝利。相手はアイスリボンのリングでシングル王座戦を行い、タッグを組んでいた時期もある鈴季すずだった。敵としても味方としてもよく知る選手だから思い切って闘えた。会場の横浜アリーナは今年2度目、大きさに緊張することもなかった。「空間把握」ができていたと安納。
「組んだ仲間も対戦相手も場所もすべてよかった。しっかり“安納サオリ”を出して勝つことができました」