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豪快タックルでSANADAをKO、いきなりIWGP挑戦…辻陽太(29歳)とは何者なのか?「オレが新日本プロレスを面白くしてやるよ」
posted2023/05/25 17:02
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
5月3日の福岡国際センター。高橋ヒロムの挑戦を退けてIWGP世界ヘビー級王座初防衛に成功したSANADAを襲ったのは、メキシコにいるはずの辻陽太だった。
当初、6月4日の新日本プロレス・大阪城ホール大会『DOMINION』でのSANADAへの挑戦者は外国人が本命視されていた。気の早いファンは内藤哲也の名前も挙げていた。だが、怪獣映画のような思わせぶりな映像の後に、暗闇からガウンをまとって現れたのが辻だった。
胸を2回たたき「ロス・インゴ入り」を示唆した辻陽太
29歳の辻は不敵な笑みを浮かべてリングに上がると、タイチらJust 5 Guysの面々を次々と蹴散らす。そして最後にSANADAを豪快なスピアー・タックルでKOした。メキシコでの成長ぶりがうかがえる、たくましい体だ。
IWGP世界ヘビーのベルトを手にすると、大の字のSANADAを踏みつけてベルトを高々と掲げて次期挑戦をアピールした。
辻は自らの胸を2回たたくポーズから、自信たっぷりに拳をかざした。そう、内藤哲也がやるように。
この仕草に福岡の場内がどよめいた。
「オレが新日本プロレスを面白くしてやるよ」
それしか語らなかったが、内藤らのユニットであるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン入りの意思表示は十分に見てとれた。大どんでん返しの可能性もわずかにはあるが、辻のロス・インゴ加入はほぼ確実だろう。
2年前、内藤哲也との壮行試合の後に語っていたこと
辻は内藤に強い憧れを抱いていた。海外に旅立つ前に壮行試合が組まれたが、本人たっての希望で用意されたシングルマッチが内藤戦だった。2021年8月1日に後楽園ホールで行われた壮行試合で、辻は内藤のボストンクラブ、逆エビ地獄に沈んだ。
「気迫は凄かったね。辻のエルボーで記憶がちょっと飛びかけたかな。それぐらい強烈なエルボーだったよ。辻が『内藤に負けるならデスティーノで負けたい』って言っていたの知っているよ。でも、オレにとってデスティーノっていうのは特別な技なんだ。オレの運命を変えてくれた技だから。残念ながら簡単には出せないな。まあいつか、デスティーノを出すのにふさわしい相手となることを願っているよ。この先、彼が海外で何をして、そしてどういう姿で帰ってくるのか、オレの知ったこっちゃないけどさ」