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女子アナを辞めたJリーガーの妻…広瀬麻知子さんがあえて「サッカーに入り込まない」家庭空間で河井陽介と歩む理由〈インタビュー〉
text by
間淳Jun Aida
photograph byJ.LEAGUE
posted2023/05/05 11:05
清水エスパルス時代の河井陽介選手と広瀬さん
「サッカーに関しては入り込まないようにしています。プロ選手は皆さん同じかもしれませんが、どうすれば良いのかは選手自身が一番考えていると思います。私がどんなに勉強しても、サッカーで夫を助けることはできないと感じています」
広瀬さんは帰宅した夫に「あの場面はシュートを打てないの?」、「あそこのボールは拾えないの」などと質問する時はある。河井選手からは「あれは難しいんだよ」、「サッカーに詳しくなってきたね」と返ってくる。そこから先、サッカーの会話を掘り下げることはない。
「たまに、やんわり激励する時もありますが、試合に負けて帰ってきた時は『駄目だったね』と明るい感じで迎えて終わります。夫は帰宅前に敗因や自分のプレーを振り返って頭の中を整理しているはずですから」
アスリートフードマイスターの資格を取得しているが
かつて広瀬さんはイメージするサッカー選手の妻を追い求めた時期があった。仕事を辞めて長男出産後の2020年、食事で夫をサポートしようとアスリートフードマイスターの資格を取得している。
元々、料理を苦にするタイプではなかったが、結婚当初はアナウンサーをしていたこともあり、河井選手から「家事は無理をしなくて良いし、食事もストイックに頑張らなくて大丈夫」と伝えられていた。当時は出社前に料理を仕込んで、河井選手が練習後に食べられるように準備していた。だが、一緒に生活するうちに、広瀬さんの考え方は変化していった。
「今は栄養バランスを計算して食事を作ってはいません。アスリートの奥さんで、しっかりやっている人はすごいと思います。夫は食べ物の好き嫌いが多いので、無理に食べさせて本人のストレスになるよりも、好きな物を食卓に並べて食事を楽しんでもらう方が良いと感じました」
河井選手はトマトやキュウリなど苦手な野菜が多い。また、調理法によっても箸が進まなくなる。広瀬さんは「夫はイチローさんや中田英寿さんが野菜を好まなかったと知って、自分も食べなくて良いと考えるタイプです。その割に、子どもには何でも食べるようにと言っているんですけどね」と笑う。好き嫌いのない長男の姿に触発されてピーマンを食べられるようになった夫に「どっちが子どもか分からないです」と笑顔で話す。
もう1つ、河井選手にとって家が居心地の良い空間になるよう、広瀬さんが忘れずに心掛けていることもある。