濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
対戦実現は? 朝倉未来と平本蓮の関係は最悪でも、なぜ“格闘家”として魅力的なのか...朝倉「稼いでも強さの証明を」平本「戯言なんてクソ食らえ」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/04/28 17:24
RIZIN LANDMARK 5に出場する朝倉未来(左)と平本蓮
誰もが思った「これは直接、闘って決着をつけるしかない」
未来vs.メイウェザーの会見では、メイウェザーの「通訳」として登場し未来をこき下ろす。自身の試合に向けての会見でもデスノートならぬ未来への「disノート」を読み上げてみせた。メイウェザー戦のダメージで頭が痛いと言う未来を「頭痛ニキ」と呼んでみたり、容姿にまで言及するのはさすがにやりすぎだったが、とにかく平本は止まらない。
結局は“ネタ”だったようだが、未来が平本を裁判で訴えると表明したことも。先述した4.29代々木大会のカード発表会見では、自身が連れてきた謎の“通訳”が言ったこととして、平本が吐き捨てた。
「格闘家がトラッシュトーク(口汚い舌戦)で訴えるとか、クソビッチかよ」
裁判まで口にしたほどの相手が同じ大会にいて、やりにくさなどは感じないか。未来に聞くと、こう答えた。
「彼はカメラとかたくさんの人の前では頑張るけど、(試合の)会場で会っても目も合わせないんで大丈夫です」
もうこれは直接、闘って決着をつけるしかない。誰もがそう思う。両者が今回の試合で勝てば、対戦への機運は最高潮に達するだろう。ただ、そうなる保証はどこにもない。
本人たちの本音「どっちでもいいですね。やれば勝つので」
未来が対戦する牛久は、斎藤を下してベルトを巻いたフェザー級前王者。斎藤は未来に勝って戴冠している。つまり、牛久は単なる“未来の相手”ではないし、平本が斎藤に勝ったらアップセットと言っていい。そういう試合なのだ。平本にとってはタイトル戦線に食い込めるかどうかの大事な一戦。未来はメイウェザー戦からの再起という面もある。
ちなみに未来は、平本が斎藤に勝ったら天才だと評した。平本は「天才だから勝つ」と返した。大会2日前の合同インタビュー、あらためて未来と平本に聞いた。お互いの対戦、すなわち目の前の試合以外の闘いが話題になることについてどう思うか。
「どっちでもいいですね。やれば勝つので。そもそも俺はクレベル(・コイケ)に勝ちたいんで」(未来)
視野にあるのは平本ではなく、かつて自分に一本勝ちした現フェザー級王者だという。平本の答えはこうだ。
「あんなの全然どうでもいい。暇でタイミングが合えばやろうかなってくらい。斎藤裕をKOするほうが得られるものが大きいと思ってますね」
どっちでもいい。どうでもいい。そう思えるくらい、現時点での自分に自信があるということだろう。未来はこれまでの試合に比べオファーが早く、準備期間を長く取ることができたと好調の秘訣を語った。格闘技に対してフレッシュな気持ちで臨んでいるようでもある。