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「死んじゃいねえよ」失冠も前向きなジュリア、別格だったモネ、鈴季すずは翌日にデスマッチ…スターダム“横アリで敗れた女たち”のこれから 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2023/04/26 17:01

「死んじゃいねえよ」失冠も前向きなジュリア、別格だったモネ、鈴季すずは翌日にデスマッチ…スターダム“横アリで敗れた女たち”のこれから<Number Web> photograph by Essei Hara

4月23日の横浜アリーナ。メインイベントでジュリアは中野たむに敗れ、赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を失った

いつもとは違ったジュリアの「アリベデルチ」

 赤いベルトの王者として「防衛回数や期間にこだわりはない」と言っていたジュリアだが、防衛2回、在位4カ月は短い気もした。それでも「1試合1試合を大切にしたい」と語っていた元王者はマイクを握った。

「またいつかな。見たか、これが最高峰だ。そして、これがジュリアだ。そして、これが中野たむだ。たむ、アリベデルチ、じゃあな」

「アリベデルチ」の決め台詞も、いつものものではなかった。「たむ」を添えたことで、中野への本当の惜別さえ感じさせた。

 中野は「また、しつこく奪いに来るんだろう」と言ったけれども、2人の再戦はしばらくないだろう。もしかしたら、本当にこれが最後なのかもしれない。

「さあ、次は何をしようかな」

 気を取り直したように前向きな言葉を発して、ジュリアはいったい何をしようと考えているのだろうか。

いるだけで華があったメルセデス・モネ

 メルセデス・モネの存在にジュリアが心を躍らせたのは事実だろう。WWEで一世を風靡し、女子王座のグランドスラムまで成し遂げたモネは、ジュリアにとって確かに戦ってみたい相手だったのだろう。

 横浜アリーナにおいて、モネの存在感は別格だった。その場にいるだけで華があった。

 モネは岩谷麻優に敗れた後での再登場でも、通路ではなく花道を使った。

 もはや、サーシャ・バンクスという名を付記する必要もなく、モネで通る。日本での動向はアメリカでも注目され、モネがIWGP女子王座を岩谷に奪われた試合はセンセーショナルに伝えられた。世界が注目する中、IWGP女子王座を追われたモネだが、意外とさばさばしていた。

「破産したみたいな気分。でも私は大丈夫。麻優は私の美しい顔を潰しにきた。私が誰かわかっているの? 私はリビング・レジェンドよ。私はスーパースター。麻優はアンダーテイカーじゃないでしょう。だからこれで終わりじゃない。もう一度チャンスがほしい。私がIWGP女子王座を取り戻すチャンスをね。これで新日本との関係が終わったわけじゃない。スターダムとも終わったわけじゃない。私はまだ旅の途中。次の機会まで待って。それまでは、ロングビーチのいとこの家でお休み」

【次ページ】 横アリの翌日、鈴季すずは蛍光灯デスマッチで血だらけに

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