酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平なら「3割30本20盗塁、2ケタ勝利と奪三振王でサイ・ヤング賞+MVP」イケるのでは…“WBCに続く超成績”を予想したくなる根拠
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/04/01 11:01
WBCでMVPを獲得した大谷翔平。投打で再びマンガもビックリの活躍を見せれば、2023シーズンのMLBでもMVPを狙えるポテンシャルはある
大谷の投球は前年まで速球とスライダー、スプリットを軸とする組み立てだったが、昨年は縦、横に変化する数種のスライダーを駆使し、後半戦は2シーム(シンカー)を投げるなど投球の幅がぐっと広がり、リーグでもトップクラスの成績を挙げるようになった。与四球は増えたが、これは球種が増えたことと関係があるのではないか。MLB投手にとっての最高の名誉であるサイ・ヤング賞の4位になっている。
10勝10本塁打は1918年のベーブ・ルース以来。2022年は長いMLBの歴史で初めて「規定投球回数」「規定打席」をともにクリアした初めての選手になった。MVP投票ではヤンキースのアーロン・ジャッジに続く2位となった。
そしてこの春の第5回WBCでは、投打ともに凄まじい活躍をして日本の世界一に貢献し、MVPに選ばれている。
では23年、大谷の成績を予想する上で考慮すべき要素は?
さて2023年、大谷翔平の成績を予想するうえでは様々な要素を考慮する必要がある。
〈1.WBC出場による疲労、ダメージ〉
あの“鉄人”イチローでさえも2009年は、WBC出場のストレスもあって、開幕から8試合を欠場した。投手としてWBC出場選手中最多の9.2回を投げ、打者としてもフル出場した大谷も相当疲れているはず、と思うのは凡人の浅はかさ。
侍ジャパンのNPB選手の多くがオープン戦を欠場する中、大谷は早くも練習試合、オープン戦に出場し活躍している。「やっぱ野球って楽しいなあ!」みたいな表情でグラウンドを駆けまわっている。この懸念は、大谷には当たらないのだろう。
〈2.「極端な守備シフト」の禁止〉
2010年頃から、MLBでは打者の打球の方向性を予測して、一・二塁間に3人の野手を配するなど「極端な守備シフト」を敷くことが多くなった。リーグ打率は低下し、投高が進んだ。このシフトが「フライボール革命」につながったと言われるが、今季から守備シフトでは、内野手を二塁ベースを挟んで2人ずつ配置することが義務付けられ、外野4人などの極端なシフトは不可能になった。また、内野手が左右を入れ替えることも禁止された。
これは打者にとって確実に有利になる。
日本時間3月28日時点でのMLBオープン戦の平均打率は.257、2022年のレギュラーシーズンは.243だったから、その効果は顕著だ。大谷も右寄りに守る守備シフトで、引っ張った打球が凡打になるケースが多々あったが、今季は打率が上がる可能性が高いだろう。