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「憧れるのをやめましょう」大谷翔平の言葉で思い出した“すぽると出演時のフリップ” 「大谷が目指していたのは“20勝”ではなかった」

posted2023/03/25 06:30

 
「憧れるのをやめましょう」大谷翔平の言葉で思い出した“すぽると出演時のフリップ” 「大谷が目指していたのは“20勝”ではなかった」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本ハム時代の大谷翔平。当時を取材したアナウンサーが秘話を明かした

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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Hideki Sugiyama

「大谷君、フリップに目標を書いてくれますか?」

 スポーツニュース番組『すぽると!』(フジテレビ)のキャスターを務めていた頃、オンエア前に大谷翔平選手に何度もこういったお願いをすることがあった。

「田中さん、今回もフリップ必要ですか? 文字にするのってなかなか難しいんですよね……」

 ニコッとしながらも、そうやって少しだけ本音を覗かせた。

「なんでもいいですよ。憧れの人でも、達成したいことでも、どんなことでも」とは言ったものの、ペンを止める姿を見て考えさせられることがあった。

 好奇心にあふれているであろう20歳前後の青年の素顔を引き出そうと「好きな人は? 好きなものは?」と聞いたこともあった。それでも答えは「野球以外だと本を読むことくらいです」というシンプルなもの。それも誰が書いた、どんな本かも具体的に話すことはない。あえて口に出さないように見えた。

「20勝」でも「160キロ」でもなかった

 プロ入り3年目の時は、かなりの時間を要しながらフリップに“20勝”と書いてくれた。何とか紡ぎ出していたように思う。

田中大貴氏のInstagramに投稿された当時のやりとり(2015年頃)田中大貴氏のInstagramに投稿された当時のやりとり(2015年頃)

 おそらく、あの頃の大谷翔平が目指していたものは「20勝」や「160キロ」でも「ホームラン50本」でもないように見えた。ことさら、なりたいと願う憧れの存在でもなかった。

 もっとその先の、もっと奥深く、誰も考えたことのないもの。そこに比較対象はない。だから文字にすることが難しかったのだと思う。

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