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佐々木朗希の労いに宮城大弥は思わず「ニコッ」…仲良し21歳の“同学年リレー”を支えた侍ジャパンの雰囲気「本当に素晴らしいチームメート」
posted2023/03/12 17:05
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Sankei Shinbun
最後は148kmのストレートを外角いっぱいに投げ込んだ。宮城大弥の、これが68球目。代打に立ったチェコ代表のA・デュボビーのバットが空を切ると、左拳を小さく握って表情を崩した。出迎えるチームメートと次々と歓喜のハイタッチを交わす。待っていたのは三日月型に目尻を下げた佐々木朗希。192cmの長身から頭をポンと叩かれた宮城は、少し首を縮めながら満面の笑みで応えた。
「正直最後まで行くとは思っていなかったですけど、それでも体の方は準備できていたので、いい勢いのままマウンドに上がれたのは本当に良かったと思います」
8回を投げ終えて、球数は54球。吉井理人投手コーチの問いに頷き、9回のマウンドにも上がった。9回2死からデュボビーを迎えた時点で、球数制限(65球)まであと4球。この打者を抑えられなければ、ブルペンで備えるクローザー・大勢の助けを借りなければいけない。フルカウントまで粘られたが、最後は注文通りの空振り三振。前の回から打者5人連続三振という圧巻投球で5回2安打1失点と試合を締め、セーブを挙げるおまけもついた。
「たぶん(人生で)初めてのセーブだと思うんですけど、先発と違い、いい感覚も味わえました」
「めちゃめちゃ緊張」した宮城をほぐしたのは…
160km台の剛球を連発して4回途中1失点に抑えた先発の佐々木から、打者一人を抑えたリリーバーの宇田川優希を挟んで、宮城にバトンが渡った。立ち上がりの5回は先頭から2者連続でヒットを許し、「ストライク先行はできているのに最後の決め球がうまくいかずに甘く入って打たれてしまった」。
内野ゴロで失点を許したが、見事な牽制でアウトを奪いピンチを切り抜けると、6回からは「割り切って」スタイルチェンジした。最速のストレート150kmに対し、89kmをマークした超スローカーブを有効に使い、実に60km以上の緩急差と抜群の制球力で残り4イニングをパーフェクトに抑えた。
「めちゃめちゃ緊張しましたが、本当に素晴らしいチームメートの皆さんが声をかけてくれて、毎イニング出迎えてくれて、少しずつ緊張がほぐれてきて、いいピッチングできたと思います」