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WBC連続MVP・松坂大輔はなぜ国際舞台に強いのか? 和田毅「とても同級生とは思えなかった」岩隈久志「クマがMVPだよと言ってくれて」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/26 17:25
2009年WBCに向けた日本代表の宮崎キャンプでの松坂大輔。WBCでは2大会連続MVPに輝き日本の連覇に大きく貢献した
それはこの日本代表の舞台を含め松坂の存在が、日本の投手のレベルアップ、底上げの大きな原動力になったということだ。
「一つ年上の先輩たちって、スゴイなって思っていた。横浜高校の松坂さんが150kmを投げる。僕らもそれぐらいにならなきゃいけないって思うわけじゃないですか。そんな球、どうやったら投げられるんだろうって思いましたし、最低でも140kmは投げられないと、ってなる。そうすると140kmが最低ラインに上がってくるわけです。高校時代から僕も、この脚の使い方をしたらスピード速くなんのかなとか、松坂さんの投げ方を真似しました」
日の丸を背負っても、岩隈にとっては、松坂とはいつまでも目標であり憧れだったのである。
”松坂世代”最後のプロ野球選手と言われて
和田は松坂から現役引退の知らせを聞いたときのことをこう話してくれた。
「引退発表の前日に携帯に着信が残っていたんですね。嫌な予感がした。簡単なことならメールでくる。まさかな、とは思ったんですけど……。本人の口から『今季で辞めようと思う』って聞いた時は、やっぱりすぐには言葉が出てこなかったですね。本当に寂しさというかショックというか……」
そして松坂の引退で“松坂世代”の現役選手は、ついに和田ひとりとなってしまった。
「僕は“松坂世代”って素晴らしいネーミングだと思っています。大学の時に『松坂世代の和田』みたいに言われて、『あぁ、僕も“松坂世代”の仲間に入れてくれたんだ』って嬉しかった。それが今は松坂世代の最後のプロ野球選手って言われる。当時の僕からすればとてもじゃないけど信じられないし、今でも信じられない。たしかに大輔はプロ野球選手は引退しましたけど、“松坂世代”をまだまだこれからも引っ張って行ってほしいと思います。野球の方は僕が頑張りますけど、松坂世代を背負うとか言われると難しい。だから僕は野球だけ、野球だけです(笑)」
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