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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
メッシ35歳は“DFがバタバタと倒れていくドリブル”をどう極めたか…風間八宏「確信を持ってやっています」“運ぶ能力”の本質とは
text by
風間八宏Yahiro Kazama
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/02/22 10:00
PSGジャパンツアー時のメッシ。“分かっていても止められない”ドリブルの運び方の真髄とは?
風間 陸上競技の走り方だと、足で地面を蹴って推進力を得るので、地面を蹴った後は尻のほうへ足が引き上げられますよね。メッシの場合はそれが少ない。足で地面を蹴って前へ進むというより、ひたすら前へ前へ足を交互に出して進んでいく。
――足踏みしているのに近い感じでしょうか。
風間 そうですね。水の上を走れるとしたら、たぶんああいう走り方になるのではないでしょうか。足の接地(接水?)時間をひたすら短くする。そうしないと沈みそうでしょ?
――ドリブルのための走り方になっていますよね。
風間 ただ速く走るだけなら陸上競技の走り方のほうが理にかなっていますが、サッカーではボールがありますからね。常にボールに触れるように、足の接地時間を短くしている。だからボールが離れない。
――誰かに教えられた走り方ではないですよね。
風間 サッカー選手はボールと一緒に速くなるものなんですよ。森谷賢太郎(元・川崎フロンターレ)がそうでした。足が速い選手ではなかったんですよ。ところが、40メートルぐらいをドリブルする練習を毎日やっていたら、すごく足が速くなった。走り方が変わったのでしょうね。ボールが体の使い方を教えてくれるところはありますね。
メッシがトップスピードで見ている景色とは
――メッシはトップスピードでドリブルしていても、すごく相手や周囲が見えていますよね。あれだけのスピードで走ると、見えるものがブレそうな気がするのですが。
風間 誰もが同じものが見えているわけではありません。メッシに何が見えているかは想像するしかないわけですが、あのスピードで動いていても、たぶん普通にいろんなものが見えているでしょうね。車のタイヤみたいなもので、いいタイヤなら車は揺れませんけど、悪いタイヤだとガタガタ揺れるかもしれない。メッシのタイヤを履いてみないとメッシの見る景色は見えない。タイヤは技術で、技術と目は比例します。ただメッシほどではないにしてもある程度の技術があれば、ドリブルしながらでも周囲はけっこうはっきり見えるものですよ。
――瞬間的に何を見ているのか興味があります。
風間 相手をよけながら何が見えているのか。いろいろなものが見えていると思いますが、例えばGKの動きも見えているでしょうね。直接GKを見ているというより、GKから自分が見えているかどうかは把握しているのではないでしょうか。
――反射的に股抜きしているので、本当に見えているのかと思います。
風間 反射的ではあるけれども、確信を持ってやっていますよね。メッシ本人はもう体に入っているのでしょう。子供のころから毎日股抜きしている選手だったでしょうから。
<#1からつづく>
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