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ドーピング問題から1年 ワリエワ16歳が騒動をモチーフにした衝撃プログラムで見せた決意とは「過失なし」裁定に再び紛糾

posted2023/01/15 11:02

 
ドーピング問題から1年 ワリエワ16歳が騒動をモチーフにした衝撃プログラムで見せた決意とは「過失なし」裁定に再び紛糾<Number Web> photograph by Sputnik/KYODO

ワリエワの今季のフリーでは、自身のドーピング騒動を想起させる振り付けがある

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栗田智

栗田智Satoshi Kurita

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 北京五輪からまもなく1年が経とうとしているが、カミラ・ワリエワのドーピング問題はいまだ解決していない。団体の順位は暫定のまま、メダル授与が行われないという異常な状態が続いている。

 事の起こりは五輪の前年2021年12月25日、ワリエワが優勝したロシア選手権。のちに問題となる検体はこのときすでに採取されていたのだが、折からの新型コロナ 感染拡大によりストックホルムの検査所からの結果報告が遅れ、禁止薬物「トリメタジジン」の陽性反応が発覚したのはフィギュアスケート団体でROC(ロシア・オリンピック委員会)が金メダルを獲得した後のことだった。

 ワリエワ側は心臓の治療薬を服用する祖父と同じグラスを誤って使ってしまったためと説明し、当時16歳未満と「要保護者」に該当することを理由に個人の出場は認められたが、フリーでは重圧からジャンプをことごとく失敗し4位という結果に終わった。泣き崩れるワリエワの姿は今なお記憶に新しい。

 その後、選手や関係者への調査が行われたが、昨年10月21日、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)はワリエワが未成年であることを考慮して調査結果の公表はしないとの声明を出した。

 これを不服として動いたのが世界反ドーピング機関(WADA)で、11月14日にはカミラ・ワリエワの4年間の資格停止処分と北京五輪団体金メダルの剥奪などを求めてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したのだった。

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