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《ホンダF1》撤退後も2年連続チャンピオン…前例のない新体制でもサーキットに受け継がれるエンジニアの魂とは 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2023/01/10 17:00

《ホンダF1》撤退後も2年連続チャンピオン…前例のない新体制でもサーキットに受け継がれるエンジニアの魂とは<Number Web> photograph by Msahiro Owari

ホンダのエンジニアとして2022年シーズンをともに現場で戦った、TDの本橋(右)とメカニックの吉野

 2022年、新しい体制でスタートしたホンダは序盤戦で何度かトラブルに見舞われたものの、HRCやチームと連携しながら、しっかりと対応。本橋と吉野はレッドブルのダブルタイトル獲得に大きく貢献し、力強い一歩を踏み出した。その2人を支えていたのが、田辺だった。本橋はこう明かす。

「田辺さんは言葉よりも行動で教えてくれる人でした。TDを退任された後は一歩引いた位置から見守ってくれているような感じでしたが、節目節目にはアドバイスをいただいていました。2022年も田辺さんの存在を感じながら仕事ができたことは、本当に励みになったし、ありがたく思っています。いまでも仲間だと思っています」

 吉野も、困難に直面したとき、いつも思い出していたのが田辺の存在だったと言う。

「田辺さんからは、いろいろ学びました。最も印象的だったのは思考の深さです。みんながこれぐらいで大丈夫だろうと思っていることでも、田辺さんは『本当にそれで大丈夫なのか』と深く踏み込んで検証し、通常ではやらない部品交換をするなどしてレースの準備を行う人でした。『そこまでやるのか』と思ったことが何度もありました。田辺さんは常に問題を深く掘り下げ、論理的に結論を出す。その経験は、私にとって大切な財産になっています」

エンジニア育成に最高の場所

 田辺はかつて、ホンダがレースをやる意義をこう説いていた。

「ホンダは昔から『走る実験室』としてレースを技術者の教育の場所として使ってきました。それはハイブリッドになった現在も変わりません。レースは技術者にとって最高の教育の場。これからの若い技術者たちにも、ぜひそこで経験を積んでもらいたい」

 田辺イズムを汲む新しいリーダーの下で新たな挑戦を続けているホンダ。そのDNAはしっかりと伝承されている。

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