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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「俺にとってナンバーワンだった」引退の田中隼磨にピクシーが電話で伝えたこと…支えになったオシムの言葉「休みから学ぶものはない」
posted2022/12/19 11:03
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE
ピクシーからの電話
現役引退を表明した田中隼磨のもとに、海外から一本の電話が入った。カタールワールドカップを直前に控えたセルビア代表監督のドラガン・ストイコビッチからだった。22年に及ぶプロキャリアに終止符を打つと聞いて、大会前にもかかわらずスマートフォンを鳴らしてくれた。
ひとしきり労いの言葉を掛けてくれた後に、ピクシーはこう言ったという。
「お前のファイティングスピリットは俺にとってナンバーワンだった」
嬉しすぎて、涙が飛び出そうになった。と同時に、「それ、もっと早く言ってくださいよ」と心のなかでつぶやいた。
横浜F・マリノスでレギュラーを張っていた彼が名古屋グランパスに移籍したのが2009年シーズン。実はストイコビッチが古巣の監督に就任した1年目の2008年からオファーをもらっており、2年越しのラブコールに応えた形での移籍であった。何より田中には2004年のリーグ優勝経験があったため、強者になるための化学反応を期待されていた。
「岡田(武史)さんのもとで、勝者のメンタリティーとは何たるか、そして個の集団がピッチ上でまとまるにはどうしたらいいかっていうのを学んだし、先輩たちからも教わった。グランパスに入ってみて、もちろん良い部分もたくさんあったんですけど、正直これでは優勝は難しいって思ったんです。選手同士でもっともっと要求していく必要があったので、僕も強く要求しましたよ。優勝するための言動をしようと思いました」
浮いた存在になったとしても別に構わない。化学反応を起こせないようであれば、自分がここにやって来た意味がないと考えていた。