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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
出場ゼロも大号泣、川島永嗣に聞いた“なぜ、そんなに泣く?”「悔しい、悔しい、悔しい…」「“今までと同じ”と言われるのは絶対納得いかない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/11 11:03
クロアチア戦の試合後、ピッチ上で大量の涙を流した川島。一体どのような思いがこみ上げたのか、本人に聞いた
僕の中では1日1日の姿勢は変わらない
一方で、川島クラスであれば39歳であっても、所属クラブやリーグのレベルを落とすなどすればプレーの機会はいくらでもあるはず。それをしないのはやはり、海外であることやリーグのレベルにこだわりがあるから。単にプレーができればそれだけでいいわけではない。そうやって、環境を選び取りその中で、いつチャンスが来てもいいよう牙を研ぎ備えている。
今大会では控え選手に甘んじつつも、クラブにいるのと同じ姿勢でいる。そのことが刺激になったと、権田修一も「引っ張ってってくれてるのは永嗣さん」と口にすることがあった。まずはその姿勢を見せることが結果的に自身と仲間の成長につながる。話の中で経験を伝えるのはその次だ。
「(控えだとしても)僕の中では1日1日の姿勢は変わらないし、自分たちは1日1日成長するためにやってるし、それはチームにいても日本代表でもかわらない。まあ選手として呼ばれている以上、自分が選手として価値のある選手じゃなければここにいる必要はないと思うし、そこはもう自分の中ではかわらない土台だと思ってやってきました。その中でプラスしてね、今大会の中でやっぱり自分が過去3大会で経験してきたことっていうのは他の選手にとってプラスになるというのは確実にあったと思うし、伝えられるところは伝えてっていうスタンスではやってました」
自分たち自身の夢のためにやる力が必要でした
ただ、伝えたのは自分たちの過去の悔しさや思いではなかった。
「正直、クロアチア戦に向かう中で4年前(ロシアW杯)の話はしてないです。選手のなかでもそうだし監督もしてないし。この試合に向けては別にその悔しさじゃなくて、今のこのチームが新しく歴史を塗り替えるために、自分たち自身の夢のためにやる力が必要でした。そういった意味で、4年前の何かに自分たちが引きずられたとか、日本が過去に打ち破れなかった壁とか、何かに引っ張られてるっていうことはなかったと思う」
日本代表という枠組みは同じでもチームメンバーはほとんど違う。それぞれが重ねてきた経験が大事なのであって、過去のチームの何かを引き継がせて背負わせるのは違う。今のチームには今の思いがあり、今の川島の思いがあった。