濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

安納サオリは「可愛いだけじゃない。強いから」“アイドルになれなかった”人気女子プロレスラーがタイトルマッチで見せたプライド

posted2022/11/29 11:02

 
安納サオリは「可愛いだけじゃない。強いから」“アイドルになれなかった”人気女子プロレスラーがタイトルマッチで見せたプライド<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

11月5日、アイスリボンのシングル王座3度目の防衛に成功し、笑顔でポーズを決めた安納サオリ

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph by

Norihiro Hashimoto

「モーニング娘。になりたかったんですよ」

 タイトルマッチを終えて、安納サオリは語った。彼女はフリーランスの女子プロレスラー。今年6月にアイスリボンのシングル王座ICE×∞を獲得し、11月5日に3度目の防衛を果たした。冒頭の言葉が出てきたのは、11.5アイスリボンがアイドルライブとのコラボイベントだったからだ。

 安納は子供の頃からダンスやバレエを習っていた。モーニング娘。の6期とハロプロ・キッズに応募、オーディションで東京に来たこともあるという。もしかしたら道重さゆみの同期だったかもしれないし、Berryz工房のメンバーだったかもしれない。大会が終わるとライブ用のステージに上がって、アイドル気分で記念撮影をしていた。その手にはチャンピオンベルトがあった。

挑戦者はアイドルレスラーユニットにも所属する新鋭

 挑戦者はアイスリボンの新鋭・石川奈青。もともとアイドルが好きで、プロレスもAKB48グループのメンバーたちがレスラー役を演じたドラマ『豆腐プロレス』などが入口だった。オーディションを受けたこともある。アイドルとプロレスの二刀流グループ、東京女子プロレスの「アップアップガールズ(プロレス)」だ。

 オーディションには合格できなかったが、面接を待つ控室で隣に座っていたのがのちに東京女子プロレスでチャンピオンにもなる渡辺未詩だったのはよく覚えている。就職してもデビューを果たしたアプガプロレスが刺激になった。運動不足解消にとアイスリボンの一般向けプロレスサークルに通いながら「私はただ仕事してるだけでいいのかな」と感じていたそうだ。

 2020年、緊急事態宣言の中、道場での無観客配信マッチでデビュー。ケガや病気での欠場も多かったが、少しずつ力を蓄えた。あーみん(COLOR'S)、神姫楽ミサ(JTO)とアイドルレスラーユニットを結成するとCDも発売。それがアイドルとのコラボイベント開催につながっている。11月5日、アイドルライブのトリはアップアップガールズ(2)。アプガプロレスの姉妹グループだ。そんな舞台でICE×∞王座初挑戦。キャリア最大の檜舞台といってよかった。

 安納は初防衛戦の相手がフリーの尾崎妹加、V2戦ではメキシコで活躍するステファニー・バッケルと闘った。アイスリボンの所属選手と防衛戦を行なうのは石川戦が初めてだ。安納としてはこの時を待っていた。

【次ページ】 毎試合のテーマは「初めて見た観客を一目惚れさせる」

1 2 3 NEXT
#安納サオリ
#石川奈青
#アイスリボン
#アクトレスガールズ

プロレスの前後の記事

ページトップ